企業にとって、周年行事は節目をお祝いする大切なイベント。SAWAMURAでも70周年の際にはさまざまな企画を展開しました。
今回のSAWAMURA PRESSでは、周年企画の中でも、特に社外の方にお話する機会のなかった「イラスト制作企画」を振り返る形でご紹介します。今年、来年に周年企画をお考えの企業様のヒントになれば幸いです。
SAWAMURAは、2020年に70周年を迎えました。(2023年10月現在73期目)
当初は全社員が集合してのお祝いイベントを企画予定でしたが、コロナ禍ということもあり断念。苦しいコロナ禍の先を見据えたメッセージを社内外に向けて発信するとともに、会社の歴史や感謝の気持ちもまた別の形で表現しようということになりました。
・ 228社様に協賛いただき、京都新聞にメッセージ広告を掲載
・ 70周年記念イラスト&カレンダーを制作
・ 記念イラストを社員用グッズに展開
・ 70周年誌を制作
70周年のコミュニケーションとして特にこだわったのが、SAWAMURAのこれまでの歴史とビジョンを表現した「記念イラスト」の制作でした。
この記念イラストは、建築的な思考をベースに「ケンチクイラストレーター」として活動されている野口理沙子氏・一瀬健人氏のユニット、イスナデザイン様に制作いただきました。
「SAWAMURAの70年を1枚のイラストに」という壮大な要望に対して丁寧にヒアリングいただき、何度も打ち合わせをしながら形にしていきました。
できあがったイラストは、SAWAMURAの歴史を創業の時代・成長の時代・展望の時代・変革の時代と4つに区切り、3個ずつ計12のストーリーにまとめ、周年記念のカレンダーを軸に展開できるようになっています。それぞれのストーリーは、歴史を象徴する水の流れに沿って、ひとつながりに組み合わせて表現することができます。
一つひとつのストーリーには、70年の歴史の中で体験してきたさまざまな出来事や思い出が、抽象化されたモチーフとして登場します。
企業の周年記念といえば、まず思い浮かぶのは「社史」ではないでしょうか。
実際にSAWAMURAでも、65周年の際には社史をまとめたDVDを制作しました。70周年を迎えるにあたっては、「きっかけを創造する」という私たちのブランドミッションを掲げてから初の記念ということで、「会社の歴史やそれを創ってきた人たちを、もっと身近に感じてほしい」という方向性から、イラストという形に行き着きました。
分厚い本や長い映像はどうしても公的なもの、堅いものという印象がありますし、ひとりひとりの思い出や感情的なエピソードを入れ込むのは難しそうですよね。
今回、会社の歴史を表現する形としてイラストを選んだもう一つの理由は、そういった「社史には載らないエピソード」に、SAWAMURAが培ってきたDNAや、会社を作り上げてきた人々の思いがあると考えたから。
実際に出来上がったイラストには、12個のブロックに50個以上のモチーフが盛り込まれることになりました。
「これっておにぎり?」「これは何の形だろう?」と、見つめるほどに疑問が湧いてくるデザインに、当時を知るベテランが「これはね…」と実際に答えてくれる。そういったコミュニケーションを通して、会社の歴史を知るきっかけになればという願いを込めました。
制作の過程では、勤続30年40年以上のまさに会社の歴史を紡いできてくださった大ベテランに直接、創業の頃や先代社長の頃の思い出をたくさん聞かせていただきました。
いま駐車場になっているあの場所には、昔は寮があったこと。
高島中学校の建設現場で夜中まで作業していたら、近所の人たちが炊き出しをしてくれたこと。
入札の結果が出たのがハワイへの社員旅行出発日で、先代社長が搭乗口まで走ってきて旅行に間に合ったこと。
そういったたくさんの物語が、分厚い本の中に封じられてしまうのではなく、いつも眺めるカレンダーや、毎日使うアイテムとして寄り添ってくれたら、とグッズ展開も考えていきました。
周年グッズとしてはカレンダーに加えて、タンブラー、トートバッグを制作しました。
いわゆる「記念品」として、自宅で仕舞われたままになってしまわないように、本当に気に入って毎日使いたくなるオシャレなアイテムを目指しました。タンブラーは主にデスクワークのメンバーを、トートバッグは大量の書類を待ち運ぶ施工管理のメンバーをイメージしながら選定しました。
日常シーンで使っている時に、社外の方からも欲しい!と言われたりデザインを褒められたりすれば、私たち社員としても嬉しくなりますよね。もちろん仕事で使わなくても、プライベートや、社員のご家族にも使っていただけるデザインです。
周年企画と聞くと社史や映像、記念式典のようなものをイメージしてしまいがちですが、決まった型があるわけではありません。企業ごとの文化やビジョンに合わせた自由な企画で、社員のみなさんがこれまでの歴史に誇りを持てるのが一番ではないかなと思います。
これまで働いてきた人たちと、いま働いていて、これから働いていく人たちに向けた素敵な企画ができるといいですね。
イスナデザイン
建築的な思考をベースに、3次元と2次元を行き来しながら、“2.5次元のケンチク”を考える野口理沙子氏・一瀬健人氏のユニット。“建築家・ケンチクイラストレーター”として、建築設計・インテリアデザイン・イラスト・立体造形などを制作している。
https://isnadesign.com/
70周年では、228社様に協賛いただき、京都新聞にメッセージ広告を掲載しました。よろしければ特設サイトもご覧ください。
Text: SAWAMURA PRESS編集部