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リノベーション
2022.10.01
古民家リノベーションで、人と街をもっと豊かに。

SAWAMURAのリフォーム課は、お風呂やトイレなど部分的な家の改修部門として発足しました。昨今では、空き家をはじめ築60~100年ほどの民家が増えてきている高島市の背景もあいまって、古民家をまるごとリノベ―ションする依頼が急増してきました。
「リフォームは、人と人」と、お客さまの想いを大事にする私たちのリフォーム課は、営業と設計がお客さまの話をとことん聞くことからはじまります。
今回は、SAWAMURAのリフォーム課でタッグを組む、営業と設計士のクロストークです。古民家リノベーションの魅力や奥深さが知れると思います。ぜひ最後までお読みください。

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住環境グループ
リフォーム課 課長
和田さん

住環境グループ
インテリアコーディネート課 課長
リフォーム課 主任
岡田さん

営業と設計が、お客さまの話をとことん聞く。

――リフォーム課って、どんな部署?

和田:メンバー一人ひとりがさまざまなキャリアを持っており、知識や力を補い合って各リフォーム案件に対応。そんなチームワークのいい部署です。営業・設計・工事などの分業制をとっていますが、チームを意識して仕事することで、受注率や現場をこなす回転率も高いと自負しています。単にリフォーム・リノベーションといっても、一般・古民家・企業様、木造・鉄骨・RCといったさまざまな種類がありますが、そのすべての物件に対応できるのも強みの一つですね。

岡田:メンバーに関しては、元大型建築の現場経験者であったり、新築住宅の担当者だったりで、幅広い構造や用途にも対応できますね。総合建設業の中のリフォーム・リノベーションの専門部署であるため、改修工事特有の問題への対応に優れていて、どんな状態の建物でも自信をもって引き受けられます。

――古民家リノベーションについて

和田:ここ数年で古民家のリノベーションが増えてきています。高島市は空き家も多く、古民家に多い築年数は約60年から100年くらいのものまで。

岡田:築何年からの家を「古民家」と呼ぶのか難しいところですが、現在リフォーム課の案件の約4割が古民家リノベーションのご依頼になっていますね。

和田:「古民家リノベーションできます!」とSNSにアップしてからは、遠方のお客さまからお問い合わせいただくことも。お客さまは、基本的にその家に対する思い入れが強くあります。親世代から受け継いだ物件を長持ちさせたい。もっと美しく見せたい。住みやすくしたい。そういった強い想いを起点にスタートします。こちらとしても万全の体制でその想いを受け止めるべく、営業と設計士がペアになってヒアリングを行い、そこからプラン・見積り・受注・工事となります。リノベーションには、お客さまの人生の物語が詰まっているので、今まで手がけたすべての古民家が印象に残ってますよ。もともと施されていた意匠を再利用したり、構造が傷んでいたので骨組みをほぼ取り替えたり。いろんなことがありすぎるわけですが、その家を大切に守ろうとしているお客さまの気持ちがなによりも印象深く、忘れられない思い出になるんですよね。

岡田:そうですね。立地や家に惚れ込んで移住された方のご相談もありますが、高島では先代や先々代が建てた家を残したい、次の世代へつないでいきたいという方のご依頼が多いですよね。ただ、他府県や都会からすれば魅力的な古民家でも、地元の人には珍しくないので「ただの古い家」と思っている方も多いです。リノベーション見学会などでもっと古民家の魅力を地元の方へ伝えて、一棟でも多く次世代へ残していきたいと考えています。

家の思い出も残す。

――古民家リノベーションのやりがいとは

岡田:古民家リノベーションの醍醐味は、古民家であることを楽しんでもらうこと。たとえば民家でも蔵でも、多くの場合が一度は改修されています。その「過去の改修」は古民家の良さを損なっていることも多く、過去の改修からもう一段階前の状態へ戻すこともよくあるんですね。そのうえで、現代の暮らしに合ったプランやデザインを取り入れて、「古いけど新しいお洒落」をつくることが、つくり手としてのやりがいです。その反面、構造が現代の耐震構造とは全く別物であることが、古民家の難しいところ。ほとんどのお客さまが「頭を打つから外してほしい」と思っていらっしゃる鴨居は、古民家では立派な構造材なんです。こうした専門的な知識をお客さまにどのように説明し、ご納得いただくか。また、在来工法に比べ間取りの自由度が低い中で、いかに使いやすい動線を実現するか。理想(動線)と現実(構造)をどちらも妥協せず、さらにデザイン性も損なわないプランを考えるのは、簡単ではないけれどとてもワクワクします。

和田:もちろん構造的に、骨組みを見て、たとえばシロアリにやられてるとか、もう本当にどうしようもないことも。そういう場合は、お客さまにとってもリフォームをするメリットが少ないので、きちんと説明してお断りする場合もありますね。岡田さんは、たとえば欄間など、もともとその家にあった古いものを生かして、思い出も残すという設計をよくしていますよね。

岡田:はい。ある案件で、古民家を解体するときに立派な欄間があったんです。欄間に枠をつけ「照明器具にしませんか」とお客さまに提案したところ、とても喜んでいただき、寝室と玄関の間接照明として生まれ変わることになりました。欄間は彫り込みが美しく、この地域では「近江八景」※1が彫られているものが多いんですよ。その後、その照明を見た別のお客さまからも好評をいただいて、SAWAMURAの古民家リノベーションの定番商品にしたいなと考えているところです。

※1 近江国(現・滋賀県)にみられる優れた風景から、琵琶湖周辺の代表的な名勝8カ所を選んだもの。江戸時代以後、屏風絵や版画の題材として流行した。

伝統再築士の資格を取得。
技術にもとづいたリノベーションを。

――仕事に対するこだわり、ポリシーについて

和田:私自身が地元の出身と言うこともあり、高島市内でリフォームさせていただくお客さまとつながりや面識があることが多いです。つまり、距離がとても近い。だからこそ、しっかりとお話を聞き、常に気を引き締めて仕事をしています。お客さま目線で、奢らず、手を抜かず、真摯な対応でよりよいものをつくり、この街で一緒に暮らしていければ嬉しく思います。リフォームが完了したら関係が終わり、ではなく、家のことはもちろんですが、何かあれば気軽に相談していただける存在になれるよう、日々精進しています。

岡田:どんな仕事でも手は抜けませんが、お客さまとの距離が近いぶん、よりいっそう気合いが入るのはよくわかります。あと、私たちは単に「おしゃれな古民家」を追求しているのではなく、伝統再築士の資格をとるなど、専門知識と技術にもとづいた設計をしています。

和田:梁や柱などでも使えるものは残しながら、断熱材を入れるために壁を一度はがしたりもします。そして、最後に新しい壁紙を貼りながら、元の古民家の雰囲気に合うよう調和させていくんです。耐震についても、今の建築と古民家とでは考え方が全然違いますからね。

岡田:今の建築基準法は文字通り「耐震」なんですよ。震動に耐える。つまり、揺れたらダメという考え方です。でも古民家は、足元の基礎がない状態、石の上に建てることで揺れを吸収して倒壊を防いでいます。現代の考え方に無理にあてはめて耐震をすると逆に壊れてしまうんです。もっといえば、古い建物は揺れることに意味があります。揺れることで震動を吸収して持ち堪えるという構造なので。

和田:ほとんどのお客さまはそんなこと知りませんから、「揺れてナンボでっせ」とは言えませんが(笑)正しい専門知識として、その都度ご説明させていただいています。

築100年には、100年かかる。

――高島市で古民家を再生することとは

岡田:以前、ヘリテージマネージャー(地域歴史文化遺産保全活用推進員)という県登録の研修へ半年間通わせていただきました。そこで文科省の方がおっしゃっていたのは、「滋賀の人は、滋賀の魅力に気づいていない、またはアピールが下手すぎる」ということ。確かにそうだと思いました。私たちは、高島の魅力にまだまだ気づけていない。築100年の家になるには、当たり前ですが100年もの年月がかかります。その時間のすばらしさや、そういう家を残してきた文化に、もっと誇りを持っていいと思う。けれど、やっぱりまだまだ、古民家は“ただの古い家”と思われがちです。視点を変えて、街の財産と捉えたいですよね。

和田:30~40代で古民家を探される方は、最近になって増えてきましたけどね。ただ、家そのものは空き家だけど、親御さんの想いや親戚の意見など、さまざまな事情でなかなか「売る」という決断をされる方が少ない現状もありますね。だからこそ古民家の魅力がもっと浸透していくことで、こうした現状は変わっていくんじゃないかな。

岡田:そうなんですよね。だから、私はいつか古民家のモデルハウスを設計したいんです!「うちなんかただの古い家」という認識を逆転させて、「うちってこんなに素敵な家になるんや!」と思えるような古民家リノベーションがしたいですね。それが最終的にカフェや宿泊施設となって、高島に人を呼び込めたら最高だと思います。

和田:いいですね。そういう取り組みによって、さらに「SAWAMURAならできるんじゃないか?」という依頼が増えれば嬉しいですね。やったことのない新しい工法や、おもしろい設計は僕ら大好物なので(笑)

岡田:SAWAMURAは、新築、オフィス、工場など、いろんな建築を手がけているので、オールマイティに対応できる土壌がすでにあるのも強いですよね。

リフォーム課を、リフォーム部にしたい。

――これからやってみたいこと

和田:まず、リフォームはいい市場です。当初5人からスタートした僕らリフォーム課も、今では10人以上の大所帯となりました。今よりさらにチームワークよく、営業・設計・工事の目標を高く持ち、上昇していければと思っています。そのためにも、人財育成に力を入れ、組織づくりにも挑戦していきたいですね。リフォーム課が大きくなるということは、高島で仕事をさせてもらう機会が増えるということ。よりよい建物をみなさまに提供していけるよう、リフォーム課を「リフォーム部」にしたいと考えています。

岡田:最初はお風呂やトイレやキッチンなど、部分的な設計が多かったですよね。それが今では、お家まるごとリフォームさせていただけるようになりました。古民家の設計をしていると、現代では絶対手に入らない材料を扱うことができます。私は、それがとても楽しいんです。後輩たちにも、同じように楽しく設計してほしいなと思っています。それがお客さまにも伝わって、「SAWAMURAで家をつくるのは楽しいな」と思っていただけると嬉しいですね。

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