COLUMN
コラム

工場・倉庫を増築する際の注意点は?建築基準法に基づいて詳しく解説

最終更新日:2024年11月18日

Pocket

工場や倉庫の増築は、生産量の増加や設備の更新、人員増加に対応するための重要な手段です。しかし、計画を進める際にはいくつかの注意点があり、建築基準法の遵守が不可欠です。
本記事では、増築時の具体的な注意点と建築基準法に基づく重要事項を詳しく解説します。

SAWAMURAの工場・店舗・オフィス改修sawamura
before after

中古購入した倉庫の内部・外部改修

改修工事実績1,000件以上 ※2020年-2023年
創業70年余。SAWAMURAは多くの法人様に選ばれています

SAWAMURAは設計、工事、内装、外構、不動産、土木など様々な部門を持つ総合建設会社です。各部門のスタッフが、お客様のご要望に対して設計から施工、アフターメンテナンスまで一貫してお客様をサポートします。

beforeBEFORE

社員増を見据えたオフィス増築・外部改修

beforeBEFORE

工場内にオフィススペースを新設

この記事の監修者
真杉智也

一級建築士 / 一級建築施工管理技士 / 一級土木施工管理技士
現場管理経験と設計業務を経験し、2024年SAWAMURAに建設プロデューサーとして入社。現場・設計を知る建築のスペシャリスト。

目次

工場・倉庫を増築する際の目的とメリット

増築の目的は、企業の運営方針や事業戦略により異なりますが、主に 作業スペースの拡張 や 生産性の向上 が挙げられます。具体的なメリットを詳しく見ていきましょう。

作業スペースの拡張による効率向上

増築によって従業員の作業エリアが広がり、動線を整えることで作業の効率化が期待できます。たとえば、物流倉庫では出荷エリアの拡張により、複数のトラックが同時に積み込み作業を行えるようになり、配送のスピードアップにつながります。

新しい設備の導入

増築によってスペースが確保されることで、最新設備の導入が可能となり、生産の効率化や品質向上が見込めます。たとえば、自動車工場では、新たな電動車両部品の生産ラインを増設することで、電気自動車市場への対応が可能になります。

コスト削減と工期の短縮

新たに施設を建設するよりも、既存施設を拡張する方がコストを抑えられます。たとえば、製造工場では増築を行うことで稼働中のラインを止めることなく作業を続行でき、業務への影響を最小限に抑えられます。

需要変化への柔軟な対応

増築により、生産ラインを追加したり、在庫スペースを拡充したりすることで、需要の変化に即座に対応できます。たとえば、季節商品を扱う企業が増築によって一時的な保管スペースを確保することで、繁忙期の在庫管理を円滑に行えます。

コストパフォーマンスの向上

増築による施設活用の最適化により、運営コストを抑えながら生産性を高めることができます。たとえば、倉庫ではスペースの増築により在庫管理を効率化し、外部倉庫への依存を減らします。物流コストを削減し、長期的なコストパフォーマンスを向上させることが可能です。

建築基準法に基づく制限

工場・倉庫の増築を進める際には、建築基準法に定められた制限を把握することが不可欠です。違法建築を防ぐために、以下のような各種制限について理解を深める必要があります。

建ぺい率と容積率の制限

建ぺい率は、敷地面積に対する建物の占有面積の割合です。上限を超えると、工事は進められません。

敷地500㎡、建ぺい率50%の場合、建物占有面積は250㎡までです。

容積率は、敷地面積に対する延べ床面積の割合です。2階建てへの増築など、延べ床面積が増えると容積率に影響を与えます。容積率100%の敷地500㎡なら、延べ床面積は500㎡が上限です。

高さ制限

建物の高さは、地域ごとに設定されている上限を守る必要があります。これに違反する増築は許可されません。工場の増築で13m以上の高さになる場合、自治体の基準に適合しているか確認が必要です。

斜線制限

道路や隣地との距離に基づき、建物の高さが制限されます。工場の増築でも、この斜線制限を超えないよう注意が必要です。

防火地域・準防火地域の制限

防火地域や準防火地域では、使用する建材に耐火性能が求められます。増築部分にも同様の基準が適用され、申請が必要です。

既存不適格建築物の取り扱い

古い工場や倉庫は、建築時には適法であったものの、法改正により既存不適格建築物となる場合があります。この場合、増築や改修では、現行基準に適合させる必要があり、コストがかかる可能性があります。

建築確認申請が必要な場合

増築部分の床面積が一定規模を超える場合、自治体への建築確認申請が必要です。
延べ床面積200㎡を超える増築や、高さが13mを超える場合には、事前の申請と確認が義務付けられています。

一定規模以上の増築は建築確認申請が必要

一定規模を超える増築には、自治体への建築確認申請が必須です。この手続きでは、申請書と設計図を提出し、増築部分及び既存部分が建築基準法に適合しているかの確認を受けなければなりません。これにより、法律違反や不備のある工事を防ぎます。

以下は、建築基準法第6条で定められた申請が必要な条件です。

項目 条件
用途に供する特殊建築物:別表第一(い)欄に掲げる用途
床面積:その用途部分の合計が200平方メートルを超えるもの
木造建築物
階数:3階以上
延べ面積:500平方メートルを超える
高さ:13メートル超
軒の高さ:9メートル超
木造以外の建築物
階数:2階以上
延べ面積:200平方メートルを超えるもの
その他の建築物
都市計画区域または準都市計画区域(ただし、都道府県知事が都道府県都市計画審議会の意見を聴いて指定する区域を除く)
景観法第74条第1項の準景観地区内(ただし、市町村長が指定する区域を除く)
都道府県知事が関係市町村の意見を聴いて指定する区域の全体または一部内に存在するもの

出典:e-GOV法令検索「建築基準法

工場・倉庫の増築時の注意点

工場や倉庫の増築には目的を明確にし、計画を練ることが不可欠です。建て替えや新築とは異なり、増築では設計や施工の自由度が限られるため、目的に沿った増築ができなければ使いづらさを感じるリスクがあります。以下では、増築時の具体的な注意点を紹介します。

増築の目的を明確にする

工場や倉庫の増築は、何を解決したいのかを明確にして計画を立てることが重要です。たとえば、従業員の作業スペースを広げる、最新設備を導入するためのスペースを確保する、または生産量増加への対応が主な目的になります。

外観バランスと接合部の補強

既存の建物に新しい部分を追加する増築では、外観の統一性が崩れやすい問題があります。また、新旧の建物をつなぐ接合部の補強が不十分だと、耐久性が低くなり、長期的なコスト増につながります。

費用対効果を慎重に検討する

目的によっては、増築よりも建て替えや新築が適している場合があります。たとえば、外観デザインの大幅な刷新や作業動線の見直しが必要な場合、増築では対応が難しいケースが多いです。

法規制と建築基準法の確認

増築は建築基準法の適用を受け、建ぺい率や容積率、高さ制限などの法規制を満たさなければなりません。既存の建物が法規制の上限に達している場合、増築が違法となるため、慎重な確認が求められます。

老朽化した建物への増築のリスク

築年数が経過した工場や倉庫は、老朽化が進んでいるため、増築ではなく建て替えが適している場合もあります。老朽化した建物に新たな構造を加えることで、全体の耐久性が損なわれることもあります。

まとめ

工場や倉庫の増築は、生産効率の向上やコスト削減を可能にする有効な手段です。しかし、建築基準法の制限や設計上の注意点を理解せずに進めると、違法建築や予期せぬコスト増といったリスクを招く可能性があります。計画段階で法的要件を満たすか確認し、必要な申請手続きを確実に行うことが、成功の鍵です。また、接合部の強度や外観デザインにも配慮し、企業の持続的な成長を支える環境を整えることが求められます。

工場や倉庫の増築を検討する際は、工場・倉庫の改修に精通した業者に相談することが大切です。滋賀・京都・福井で工場・倉庫の増築なら株式会社澤村にお任せください。

SAWAMURAの工場・店舗・オフィス改修sawamura
before after

中古購入した倉庫の内部・外部改修

改修工事実績1,000件以上 ※2020年-2023年
創業70年余。SAWAMURAは多くの法人様に選ばれています

SAWAMURAは設計、工事、内装、外構、不動産、土木など様々な部門を持つ総合建設会社です。各部門のスタッフが、お客様のご要望に対して設計から施工、アフターメンテナンスまで一貫してお客様をサポートします。

beforeBEFORE

社員増を見据えたオフィス増築・外部改修

beforeBEFORE

工場内にオフィススペースを新設

改修工事コラム

工場・倉庫の改修やリフォーム、建て替えに関する
基礎知識についてお届けしています。

COLUMN
ABOUT
RENOVATION
© 2024 SAWAMURA Inc.

お電話でのお問い合わせ
受付時間 8:15~17:15