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工場の床塗装は自分でできる?塗料選びからメリット・デメリットまで解説

最終更新日:2024年11月15日

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工場の床の塗装は、実は床の保護や従業員の保護など大切な役割を担っています。そんな床塗装も、工場の経年変化とともに一部が剥がれてきたりするものです。

「剥がれてきたのなら自力で塗り直しをしよう」と考える工場経営者の方もいるかも知れませんが、はたして本当に、適切な床塗装を自力でできるものなのでしょうか?

この記事では、工場床の塗装が大切な理由や、床塗装における塗料の選び方について説明したのちに、工場の床塗装にDIYで挑戦するメリットやデメリットについて解説していきます。

目次

工場床の塗装が大切である3つの理由

機械や器具などを用いて商品の製造や加工を行う工場では、重量物の移動や部品の移動そして製造作業が日々行われています。

工場で安全な作業環境を維持するために、大変重要な役割を果たしているのが工場床の塗装です。ここでは、工場床の塗装が大切である理由を説明していきます。

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この記事の監修者

株式会社澤村(SAWAMURA)

山々に囲まれ、琵琶湖を臨む滋賀県高島市。
株式会社澤村は1950年の創業以来、地域とともに歩みながら、信頼・実績・技術を受け継いできました。
現在、フィールドは滋賀・京都・福井まで広がり、130名を超えるスタッフと共に、設計・施工の一貫体制でお客さまのご要望にお応えしています。
本コラムは株式会社澤村が運営する工場建築・倉庫建築に関するお役立ちコラムです。

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目次

床の保護になるから

まず、第一の理由として挙げられるのが「床の保護になる」という点です。

工場床は熱や油にさらされ傷みやすく、日々衝撃や摩耗の激しい環境におかれています。塗料による保護がなければ、急速に劣化が進んでしまいます。

床に塗装を施すことで、このような環境におかれている床の劣化を防ぎ、清潔性や安全性を高めることができる、というわけです。

従業員の保護になるから

第二の理由として「従業員の保護になる」という点が挙げられます。

経営者は工場で働く従業員の安全を図ることが必須です。しかし、塗装が十分に施されていなければ、工場床のコンクリートは劣化し、床面には凹凸が発生します。

そのような工場床では、従業員の転倒などが発生し、従業員の怪我の元となってしまいます。

剥げなどのない床塗装は、従業員の怪我を防いでいる、というわけです。

事故の防止になるから

第三の理由は「事故の防止になる」です。

塗装が剥がれるなど床が劣化すると、床に凹凸が発生し、資材等の移動の際に落下事故が起きる可能性もあります。

床塗装に不備があると、作業員の転倒だけでなくさらに大きな事故も誘発し得るのです。

工場床塗装における塗料の選び方

工場の床塗装と一口に言っても、なんでも塗ればいいというわけではありません。

特に、塗料の選択は、工場の製造内容や塗装に費やすことのできるスケジュールなどを考慮する必要があります。

ここでは工場床塗装における塗料の選び方、および具体的な塗料の種類について、説明していきます。

ここでご紹介する具体的な塗料の種類は以下の通りです。

塗料の種類 特徴
エポキシ樹脂塗料 耐摩耗性、耐衝撃性、耐薬品性、耐油性に優れる
他と比較して安価
ウレタン樹脂塗料 耐摩耗性、耐薬品性、耐油性に優れる
柔軟性があり衝撃に強い
アクリル樹脂塗料 耐水性、耐候性
短時間で乾燥する

[出典:長期使用構造等とするための措置及び維持保全の方法の基準]

【前提】塗料には水性と溶剤がある

工場の床塗りをする上で最初のステップとなるのが、自社の製造内容に合った塗料を選ぶことです。

塗料には大きく分けて、水性と溶剤という種類があります。

リーズナブルな価格で購入できる水性塗料には、作業性が良く換気に気をつけなくて良い反面、耐久性の部分で劣るという難点があるようです。

これに対して水性塗料と比べて遥かに耐久性の高い溶剤には、希釈液を別途用意する必要があります。

また水性塗料よりも1.3倍ぐらい割高という意見もありますので、希釈液などの準備も含めるとコストはかなりかかってしまうと言えるでしょう。

工場の目的に合った塗料を選ぶ

塗料は、水性か溶剤かという違いだけではなく、塗装後に塗膜として残る成分の種類にもさまざまなものがあり、それぞれに特性や長所・短所があります。

また、一般家庭では用いることのない薬剤や食品、油などを取り扱う工場の場合は、製造に使用する原材料や製品と塗料との相性もチェックする必要もあります。

用途によって適した塗料が異なるため、塗料の特性を理解し、適切な塗料を選ぶことが重要です。

このように塗料の選択は一般の方には少し難しいものですので、プロに相談をしながら進めていくことをおすすめします。

コストを抑えたいならエポキシ樹脂塗料

エポキシ樹脂塗料は塗膜として残る主成分がエポキシ樹脂である塗料のことです。

エポキシ樹脂塗料は、耐摩耗性、耐衝撃性、耐薬品性、耐油性に優れ、仕上がりもシームレスで美しい見た目を作り出せます。

また、安価であるという長所も持っており、最も一般的に使用されている床塗装材のひとつです。

重量物を扱う工場ならウレタン樹脂塗料

ウレタン樹脂塗料は、耐摩耗性、耐薬品性、耐油性に優れている塗料です。

また、エポキシ樹脂よりも柔軟性があり衝撃に強いため、重量物を扱う工場の床に適しています。

重量物の運搬や設置、あるいは万が一重量物の落下が発生した場合などを考慮すると、ウレタン樹脂塗料は最良の選択肢のひとつと言えそうです。

スケジュールがタイトならアクリル樹脂塗料

アクリル樹脂塗料は、耐水性、耐候性に優れている塗料です。

施工が容易で、短時間で乾燥するため、工場の生産ラインを止めることなく、塗装ができるというメリットがあります。

工場床の塗り替えを行いたいが、スケジュール的にあまり多くの時間を塗り替え施工に避けない、といったケースではこの塗料の活躍が期待できます。

工場の床塗装はDIY感覚でも行えるもの?

なるべくコストをかけずに工場や倉庫の補修をしたいと考える会社の中には、DIYの延長で外壁塗装や床塗装などを行うところもあるようです。

しかし実は、工場の床塗装は作業工程が大変多く、かつそれらの作業は初心者にはイメージし難い特殊なものも含まれています。

工場は一般住宅と比べて遥かに規模が大きいことも考えると、「自分たちで本当にDIYで床塗りを行えるのか?」の判断は慎重に行うことをおすすめします。

床塗装の作業工程は多い

一般的な床塗装の作業工程は、以下のようにたいへん工程数の多いものです。

●現場調査(床面積や床の状況など)
●養生(機材などを粉塵や臭気などから守るため)
●下地処理(既存床の剥ぎ取り、研磨など)
●プライマー塗布(塗料の密着性を上げるため)
●下塗り
●上塗り
●仕上げ

この作業工程の多さや煩雑さから、一般的には塗装のプロに相談するケースが多いようです。

初心者にはイメージし難い特殊な作業が多い

上で述べた作業工程の多さだけでなく、工程の中ではプロの塗装業者ならではのコツも必要になってくることがあります。

塗料を塗る床には、モップでホコリをしっかり落とした上でサンダーを使って軽く削る準備が必要となります。

またプロの塗装業者では、塗料缶の中に500ccほどの水を入れてしっかり混ぜた上で、それでも粘度が残っているなら更に水を入れるという方法をとるようです。

こうした形でかなりのコツと基礎知識の必要となる工場の床塗りは、DIY感覚で行うよりも、工場倉庫の施工実績の豊富な専門業者に依頼をした方が早くきれいに仕上がると言えるでしょう。

工場床の塗装にDIYで挑戦するメリット

それでも「工場床の塗装にDIYで挑戦してみたい」という工場経営者の方もいるかと思います。

そこでここでは、工場床塗装にDIYで挑戦するメリットについて考えてみましょう。

1.コストが削減できる点

工場床塗装にDIYで挑戦するメリットとしてまず挙げられるのが「コストの削減」です。

自分で安価な塗料を探してきてそれを使えば塗料代を抑えることができます。また、塗装業者に依頼する分の人件費を抑えることも可能です。

ただし、安価な塗料を探して入手するまでの時間的なコストや、社内で作業するために社員を動員した時にそれによって失われる本来の作業時間分の損失は、考慮する必要があるでしょう。

2.スケジュールの調整がしやすい点

DIYで挑戦するメリットとして2つ目に挙げられるのが「スケジュールの調整が容易」な点です。

塗装業者に依頼するとなると、その業者との日程調整が必要になります。塗装業者の予約が立て込んでいれば、こちらが望む日程で床塗装ができないことも十分に考えられます。

その点DIYであれば、自社のスケジュールの中で床塗装を完結できる、というわけです。

ただし、自社の生産スケジュールも加味しつつ床塗装施工のスケジュールを立てることは、難しいかもしれないことは念頭に置く必要があります。

3.デザインが自由にできる点

DIYで挑戦するメリットとして考えられるものは「デザインが自由にできる」点でしょう。

DIYで挑戦するならば、使う塗料のメーカーも床の色の選択も床に線を引いたりするのもすべて自由です。経営者の好みのままに床塗装ができると言って良いでしょう。

ただし、塗料の種類や色の選択にも専門家の視点から見ればそれぞれに理由があるものです。デザインを自由にした分、求める機能や効果が得られない可能性もあることを忘れないでおきましょう。

工場床の塗装にDIYで挑戦するデメリット

一方で、工場床の塗装にDIYで挑戦することには、いくつものデメリットがあります。

ここでは代表的なデメリットを3つ、紹介していきましょう。

1.塗料の選択が難しい点

工場床の塗装では、まず塗料選びが大変重要なポイントとなります。

工場でどのようなものが生産されているのか、薬品などを扱う現場なのか、重量物の運搬の頻度はどれぐらいなのか、床塗装の施工に割ける日数はどれぐらいなのか、など多くの要素が塗料の選択に関わってきます。

そのため、工場にとっての適切な塗料の選択には専門知識が必要であり、専門家以外にはかなり難しいと言わざるを得ません。

また、塗料の選択を間違えば、塗装の仕上がりに不満が残る可能性もあります。

2.適切な下地処理が難しい点

工場の床塗装はDIYでやるのは、適切な下地処理が難しい、というのも大きなデメリットのひとつです。

床塗装には既存床の剥ぎ取りや研磨などの下地処理が必須です。しかし、この下地処理が不十分だと、塗料の効果を引き出せず、塗膜が剥がれたり、せっかく塗装した床の劣化が早まる可能性があります。

塗装の問題だけでなく、例えば工場内で水はけを確保しなければいけないのに、剥ぎ取りや研磨の失敗で水はけが悪くなる可能性も考えられます。

3.作業が塗装だけでは終わらない点

床塗装といっても、作業が塗装だけでは終わらない、塗料を買ってきてただ塗ればいいというわけではないことも、デメリットと言えるでしょう。

既存床の剥ぎ取り、研磨などの下地処理だけでなく、その前の養生や、プライマーの塗布、クリーニング、洗浄など、作業内容は多岐にわたります。また必要であれば、コンクリートの補修なども作業に含まれます。

これらのどれも専門的な知識やコツが必要なものばかりです。専門の業者以外が、必要な作業を確実に行うことはかなり難しいでしょう。

工場床の塗装に関するよくあるQ&A

ここでは、工場床の塗装に関してよくある質問に答えていきます。

なぜ工場の床は緑が多いのですか?

工場の床に緑色が採用されることが多い理由としては、以下の4点がよく挙げられます。

●緑色は目に優しく、作業環境を明るくする効果がある
●緑色は汚れが目立ちにくく、清掃効果が高い
●製品や部品などと色が被らないため、緑色が選ばれることが多い
●人間にとって自然を連想させる色であるため、精神的にも落ち着きやすい

工場の種類によっては一概に言えないこともありますが、一般的には緑を選択しておけば大きな間違いはないと言えるでしょう。

工場床の塗装をDIYする際の注意点はありますか?

まず、社内スケジュールを調整するのがポイントです。

塗装期間は、工場内での物や人の移動や機械の稼働ができなくなる期間が発生します。社員のシフトや納期など社内調整が必要となるでしょう。

また、塗装作業が開始してからは、作業の流れをスタッフ全員で共有しておく必要があります。例えば、誰かが塗る場所の順番を誤ってしまうと、その塗料が乾くまで離れ小島になる人がでてくることもあります。

塗装の作業と通常の工場としての作業が円滑に進むように注意が必要です。

工場の床塗装の見積もりも取れますか?

もちろん、工場の床塗装の見積もりは取ることができます。

ただしそのためには、以下のような情報を専門の業者に伝える必要があります。

●工場の床の面積
●塗料の種類もしくは工場の特徴・用途
●床の状態(新築に近いのか、補修が必要なのかなど)
●希望する施工時期

例えば、床の面積によって塗料の量は変わりますし、塗料の種類によっても費用は変化します。その塗料の種類は工場のもつ特徴や用途によっても変わってきます。

通常、塗装に入る前には現地調査は行われますが、その前に大まかな床の状態を伝えておけば、必要な費用の概算を前もってしてもらうことも可能です。

これらの情報をもとに、塗装業者に依頼すれば見積もりを取ることができます。

まとめ:工場の床塗装はプロに相談を

今回は、工場の床塗装の重要性や塗装に用いる塗料の選び方、床塗装にDIYで挑戦するメリットとデメリットについてみてきました。

工場の機能や安全性を維持するためにも重要な床塗装をDIYで実現することは、できないことはありませんがやはり難しくデメリットも多くみられます。

工場の床塗装を考えている工場経営者の方は、工場の床塗装の専門的知識や施工経験の豊富なプロの業者に依頼することをおすすめします。

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