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物流拠点を集約するメリット・デメリットは?成功のポイントも解説

最終更新日:2025年03月21日

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流通加工、出荷などを担う重要な施設です。従来は複数の物流拠点を配置する「分散型」が主流でしたが、近年はコスト削減や効率化を目的に「集約型」への移行が進んでいます。

本記事では、物流拠点の集約型と分散型の違い、集約するメリット・デメリット、そして集約型物流拠点を導入する際に押さえておくべきポイントについて詳しく解説します。

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この記事の監修者
宮前 聡志

一級建築士 / 一級建築施工管理技士

営業企画課課長。工場管理経験と設計業務を経験し、2018年にSAWAMURAに建設プロデューサーとして入社。現場・設計・営業を知るオールラウンダー。

目次

物流拠点は集約型と分散型の2種類

物流拠点の種類は次のとおりです。

集約型物流拠点

物流拠点を1カ所にまとめ、大規模な施設で在庫管理や配送を一元化する方法です。拠点の数を減らすことで管理コストを抑えられるほか、物流の効率を高めることができます。特に地価や人件費の高い首都圏エリアでは需要が高まっています。

分散型物流拠点

複数の地域に物流拠点を配置し、各拠点から納品先へ直接配送を行う方法です。顧客の近くに拠点を設けることで配送のリードタイムを短縮できるほか、万が一のトラブル時にも代替の拠点を活用できるため、リスク分散の面でも有利とされています。それぞれの特徴を踏まえ、自社に適した戦略を選択することが重要です。

物流拠点を集約するメリット

物流拠点を集約するメリットについて詳しく見ていきましょう。

コスト削減が可能

拠点数を減らすことで、設備や管理にかかるコストを削減できます。また、必要な人員の配置も最適化できるため、全体的なコスト削減につながります。特に、地価や人件費が高騰している都市部では、物流拠点を集約することで大きな経済的メリットを得られるでしょう。

配送効率の向上

複数の拠点を設けている場合、拠点間での在庫の移動や輸送が発生しやすくなりますが、集約型ではすべての在庫を一カ所に保管し、そこから直接配送するため、余計な輸送を減らすことができます。拠点間輸送に伴うトラックの稼働時間や燃料費、人件費を削減できる点も大きな利点です。

在庫管理の簡素化

複数拠点の在庫を同時に管理するよりも、一カ所に集約したほうが管理の手間を削減でき、リアルタイムで正確な在庫状況を把握しやすくなります。これにより、過剰発注による在庫の廃棄リスクを軽減し、欠品リスクも抑えることが可能になります。

物流拠点を集約するデメリット

物流拠点を集約するデメリットについて詳しく見ていきましょう。

配送時間の増加リスク

集約型の物流拠点では、配送先が広範囲にわたる場合、納品先までの距離が長くなり、結果として配送時間が増加する可能性があります。特に、生鮮食品や短時間での配送が求められる商品を取り扱う場合は、この影響が大きくなるでしょう。配送時間の増加に伴い、人件費や燃料費などのコストも増える可能性があります。

リスク分散の難しさ

分散型であれば、特定の拠点が災害やトラブルで稼働できなくなった場合でも、ほかの拠点が補完することで事業の継続が可能です。しかし、集約型では主要拠点が機能しなくなると、物流全体に深刻な影響が及び、業務の停止につながるリスクがあります。そのため、集約型の物流拠点を検討する際には、リスク管理や事業継続計画(BCP)の策定が不可欠です。

分散型物流拠点のメリット

分散型物流拠点のメリットは下記のとおりです。

配送リードタイムの短縮

分散型物流拠点は、各拠点を消費地や納品先の近くに配置するため、配送リードタイムを短縮できるのが大きなメリットです。特に、即日配送や短納期が求められる業界では、分散型の導入によって顧客満足度の向上につながります。

リスク分散による安定した物流運営

複数の拠点があることで、災害やトラブルが発生した際にも他の拠点でカバーしやすくなります。地震や台風などの自然災害による影響を最小限に抑え、事業の継続性を確保しやすい点が、分散型の大きな強みです。

地域ごとの最適な在庫配置が可能

分散型では、各エリアの需要に応じた在庫配置ができるため、需要変動に対応しやすくなります。特に、全国規模で展開している企業では、地域ごとの販売動向に基づいた在庫管理を行うことで、欠品や過剰在庫を防ぐことが可能になります。

多様な輸送手段の活用

拠点が複数あることで、トラック輸送だけでなく、鉄道輸送や海上輸送など多様な輸送手段を柔軟に活用できます。物流コストの削減や環境負荷の低減にもつながり、持続可能な物流システムの構築が可能になります。

市場変化への迅速な対応

EC市場の成長や消費者のニーズ変化に応じて、配送スピードの向上が求められています。分散型物流拠点を活用することで、突発的な需要増やプロモーション時の出荷対応など、柔軟なオペレーションが可能になります。

分散型物流拠点のデメリット

分散型物流拠点のデメリットは次のとおりです。

拠点ごとの運営コストが増加

複数の物流拠点を運営するため、それぞれに人員を配置し、設備を整える必要があり、管理コストが増加します。特に、賃貸倉庫を利用する場合は、複数拠点の賃料負担が大きくなるため、費用対効果を十分に検討することが重要です。

在庫管理が複雑になる

拠点ごとに異なる在庫を管理する必要があり、全体の在庫状況を正確に把握するのが難しくなります。在庫の分散によって、ある拠点では在庫が不足し、別の拠点では過剰在庫になるといった問題が発生しやすくなります。

拠点間の調整が必要

分散型では、拠点ごとに入出庫のオペレーションが異なる場合があり、全体の調整が必要になります。例えば、ある拠点での在庫が不足した際に、別の拠点からの補充がスムーズに行われないと、納期遅延の原因になる可能性があります。

物流ネットワークの管理が煩雑

拠点が分散しているため、輸送ルートの最適化が求められます。拠点ごとに異なる配送ルートを管理する必要があり、無駄な輸送が発生しないように、ITシステムや物流管理ツールを活用する必要があります。

物流拠点を集約する際のポイント

物流拠点を集約する際のポイントについて詳しく見ていきましょう。

契約面積と有効率の確認

施設や敷地の契約面積だけでなく、物件図面の資料や賃貸契約書などから実際に利用できる面積を把握することが重要です。倉庫や工場の賃貸契約を結ぶ際、施設面積には建物の庇(ひさし)などが含まれる場合があるため、契約面積すべてを業務に使用できるとは限りません。

取得した土地に倉庫や工場を建築する場合は、建ぺい率や容積率も確認しておくことが不可欠です。建ぺい率は敷地面積に対する建築面積の割合、容積率は敷地面積に対する延べ床面積の割合を示す指標であり、これらを理解しておかないと、予定通りの施設を建設できない可能性があります。

立地の選定

物流拠点の立地は、効率的な配送のために非常に重要な要素となります。仕入れ元や納品先への距離、高速道路や駅、空港などの交通インフラとの位置関係を考慮し、最適な場所を選ぶことが求められます。また、地価や建設費用も大きな判断基準となります。地域ごとの法規制によっては、希望する用途で使用できないケースもあるため、事前の確認が必要です。

費用対効果の検討

物流拠点を集約することでコスト削減や配送効率の向上が期待できますが、配送時間が長くなることで追加のコストが発生する可能性もあります。例えば、集約型にすることでトラックの走行距離が増え、燃料費や運転手の人件費が高くなるケースも考えられます。

多少のコスト増加があったとしても、配送効率や在庫管理のメリットが上回る場合は、集約を進める価値があるでしょう。物流拠点を集約することによるコストと、その効果を総合的に比較しながら判断することが大切です。

まとめ

物流拠点の集約には、コスト削減や在庫管理の効率化、配送の最適化といった大きなメリットがあります。一方で、配送時間の増加やリスク分散の難しさといったデメリットも存在し、すべての企業にとって最適な選択肢とは限りません。

今後の市場動向を踏まえながら、企業にとって最適な物流拠点の運営方法を選択することが、競争力を高める鍵となるでしょう。

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