
最終更新日:2022年01月26日
高齢者向け住宅事業を展開する際は、どこに建設するかが重要です。建設場所を誤ると法的な問題が起きるだけではなく、利用者がなかなか現れず、事業として成り立たなくなる可能性があります。そこで今回は、高齢者向け住宅事業における土地選びのポイントについて、法律とビジネスの両面から詳しく解説します。
【法律面】高齢者向け住宅事業の土地選びのポイント
高齢者向け住宅事業を展開する際の土地選びについて、次のような法律上のポイントを押さえましょう。
区域の制限
「市街化調整区域」には、原則建物を建てることができません。一方、「市街化区域」、「非線引き区域」には高齢者向け住宅を建設できます。なお、「市街化調整区域」であっても、サービス付き高齢者向け住宅と有料老人ホームに限っては、一定条件のもとで建設を許可される可能性があります。ただし、許可申請後の審査には時間がかかるため、よほどの事情がない限りは他の区域に建設した方がよいでしょう。
用途の制限
建設する建物の用途は、建築基準法によって制限されています。サービス付き高齢者向け住宅や有料老人ホームなどは、工業専用地域を除く用途地域にて建設できます。ただし、第一種低層住居専用地域、第二種低層住居専用地域は、高さや斜線などに制限が設けられており、多くの場合は2階建てまでの建物のみ建てることができます。
容積率の制限
建てられる建物の広さには、容積率が関係しています。建築可能の延床面積の上限は、敷地面積×容積率で算出します。有料老人ホームの場合、1部屋につき13㎡以上、サービス付き高齢者住宅の場合は、1部屋につき25㎡以上の面積が必要です。さらに、廊下の幅もより大きく確保する必要があります。これらを踏まえて、高齢者向け住宅の建設が可能かどうか確認しましょう。
また、高齢者向け住宅を建設する土地の前面道路の幅にも厳格なルールがあります。建物部分の面積が足りていても、前面道路に十分な幅を取れない場合、高齢者向け住宅は建設できません。
【ビジネスの視点】高齢者向け住宅事業の土地選びのポイント<
法的な条件を満たした土地が見つかっても、必ずしも高齢者向け住宅の建設場所に相応しいとは限りません。高齢者向け住宅事業を成功させるには、より多くの利用者を集める必要があります。次は、ビジネスの観点から、高齢者向け住宅を建設する土地選びのポイントについて解説します。
目立ちやすさ
目立ちやすい場所に高齢者向け住宅を建設することで、近所の人や近くを通りがかった人の目に触れやすくなります。その結果、利用者が集まりやすくなることが期待できます。大通り沿いや知名度が高い観光地、ショッピングセンターなどのすぐ近くがおすすめです。そのほか、看板を立てれば宣伝効果も期待できるでしょう。
このような土地は比較的高額なため、効果とコストのバランスを見て選ぶことが大切です。ウェブマーケティングやポスティング、新聞折り込みチラシなど、さまざまな方法で宣伝するのであれば、看板が目立つかどうかはそれほど重要ではないかもしれません。
面会のしやすさ
高齢者向け住宅の利用者によって、面会の頻度は異なります。中には家族がいない、いても面会にほとんど来ない利用者もいますが、面会しやすいのに越したことはありません。サービスの充実度が好評価でも、面会しにくい立地だと、それだけで選ばれなくなる可能性もあります。面会する人の多くは車のため、駅の近くを選ぶ必要はありません。それよりも、駐車場を完備したり、インターチェンジの近くの土地を選んだり、車での通いやすさを重視することが大切です。
そのほか、ショッピングセンターや観光地の近くなど、ついでに立ち寄れる場所もおすすめです。
自然と利便性のバランス
自然あふれる山奥に建てられた高齢者向け住宅は、きれいな空気の中でのびのびと過ごせるというメリットがあります。その一方で利便性が悪く、気軽に町へ散策へ連れていくことが難しくなったり、面会に来づらくなったりするデメリットもあるのです。このような自然と利便性のバランスを踏まえて土地を選ぶことが大切です。
まとめ
高齢者向け住宅事業の成功には、適切な場所に建設することが欠かせません。法的な問題をクリアしても、ビジネスの観点からベストとは言えない土地に建設すると、利用者がなかなか集まらない事態に陥る恐れがあります。また、サービスの内容や内装なども利用者の満足度につながるため、事業の成功に必須と言えるでしょう。まずは、高齢者向け住宅事業の建設に詳しい専門家に相談することをおすすめします。
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