最終更新日:2023年10月30日
勤務医よりも収入を上げるための方法の一つとして挙げられる「開業」。収入アップや自分の医院を持ちたいといった希望から、開業を検討している方は多いのではないでしょうか。
しかし、開業が初めての方にとって、「どのような診療科を選ぶべきか」「どの診療科が儲かりやすいのか」などは気になるところでしょう。
そこで、今回は開業しやすい診療科や近年の動向、収益を得やすい診療科などについて解説します。
開業しやすい診療科は?
まずは、開業しやすい診療科について解説していきます。どのような診療科であれば、開業しやすいのかを見ていきましょう。
開業のしやすさに大差はない
結論から言うと、診療科ごとの開業のしやすさには大差ありません。ほとんどの診療科が「医師免許」さえあれば標榜できるからです。
また、診療科ごとに開業手続きが異なるわけでもなく、特別な審査もありません。そのため、開業そのものはいずれの診療科を選んでも問題ないと言えます。
歯科・麻酔科のみ特定の資格が必要
ほとんどの診療科は医師免許のみで開業できますが、「歯科」「麻酔科」のみは特定の資格が必要となるため注意してください。
歯科として開業する際に必要なのが「歯科医師免許」であり、麻酔科は「麻酔科標榜医」といった資格が必要です。
取得している資格によっては、歯科と麻酔科の開業ができないため注意してください。
医療業界における近年の動向
開業で診療科を選ぶにあたって、知っておきたいのが医療業界における近年の動向です。どのような診療科の施設が増えていて、逆に減っている診療科は何なのか、などについて把握したうえで開業時の診療科を選びましょう。
糖尿病内科、腎臓内科、救急科が増加傾向
2020~2021年に増加した診療科は「糖尿病内科」「腎臓内科」「救急科」の3科目です。
現代ならではの「生活習慣病」に対応するための診療科はニーズが高いため、2020~2021年の間に糖尿病内科は42施設、腎臓内科は28施設増加したとされています。
また、高齢社会が一つの原因として、救急科も25施設増えています。
外科、小児科、内科は減少傾向
2020~2021年の間に減少した診療科は「外科」「小児科」「内科」です。
もともと、外科や内科は施設が多く、人口減少などに伴い施設数に減少傾向が見られています。外科は29施設が減少、内科は18施設が減りました。
また、少子化も起因して、小児科は26施設も減少しています。
開業にあたって儲けるためのポイント
開業するにあたって、気になるのが「どうすれば儲かるのか」でしょう。
ここからは、開業後に設けるためのポイントを解説します。
儲かる診療科目を知る
儲かるか否かは、本人の経営手腕によるところもありますが、実は儲かりやすい診療科目が存在します。
主に、以下の診療科目が儲かりやすいとされています。
【診療科/医師の年収】
産婦人科/2,700万円以上
眼科 /1,400万円以上
皮膚科 /1,270万円以上
内科 /1,230万円以上
小児科 /1,150万円以上
少子化が進んでいる時代でありながら、産婦人科医の年収が高い理由は、高齢出産が増えていることが挙げられます。不妊治療などでも儲けやすいため、年収が高めの傾向です。
開業コストを正しく把握する
開業には当然ながらコストがかかります。そのうえ、診療科ごとに開業コストが異なるため、検討している診療科のおおよその費用を把握しておくことが大切です。
たとえば、内科の場合は、内装におよそ3,000万円、医療機器の導入に2,000~3,000万円がかかります。また、必要な面積は30~50坪であり土地代・賃料なども発生します。
自身が開業を検討している診療科をきちんと把握したうえで、収支に無理なく経営できるように計画を立てましょう。
診療科別|開業成功のポイント
開業後、安定した収益を維持するためにはどうしたらいいのでしょうか。
ここからは、診療科別に開業成功のポイントを解説します。
皮膚科
自由診療が基本の「美容皮膚科」であれば、収入が高くなりやすい傾向にあります。そもそも美容皮膚科は高収入な患者が多いため、収益化がスムーズです。ただし、マーケティングや広告などでコストもかかることを視野に入れて戦略を立てることが求められます。
眼科
子供からお年寄りまで利用する眼科は、すべての世代が住んでいるようなファミリー層の多い地域がおすすめです。また、どのような手術が可能なのかで需要が変動するうえに、必要な施設や設備も異なるので、事前に具体的にイメージしておく必要があります。
産婦人科
不妊治療も想定した開業が望ましいでしょう。不妊治療は仕事と両立させる患者が多い傾向にあるので、駅から近い、オフィス街から近いなど、通いやすいエリアがおすすめです。
また、女性が利用する施設となるため、内装や外観、設備などは女性のニーズを満たすようなものを心がけてください。
内科
競合の医院が多く、診療圏が狭い内科は、しっかりと戦略を練ったうえで開業する必要があります。とくに「エリアマーケティング」は徹底しましょう。どのような専門性のニーズがあるのか、広く患者を取り込むためにはどうしたらいいのか、などは最低限考えておくべき要素です。
おわりに
本ページでは、開業しやすい診療科や、設けるためのポイントなどについて解説しました。
診療科ごとに開業のしやすさに大差はないものの、儲かりやすさやトレンドなどは大きく異なります。何を選ぶかで収益に大きく影響するため、慎重に検討することが重要でしょう。
現在、開業を検討している方は、ぜひ本ページを参考にしながら、診療科選びを進めてみてください。