最終更新日:2023年10月30日
クリニックの移転開業を検討するにあたって、悩みやすいのが「手続き」です。単純に開業する場合と比べて、クリニックの移転開業は手続きが多かったり、複雑であったりとわかりにくいことが多いです。
しかし、正しく手続きを進めないと、計画通りに開業できなくなってしまう恐れがあるため注意が必要です。そこで、今回はクリニックの移転開業を検討している方へ向けて、手続きや注意点などについて解説します。
クリニック移転開業で必要な手続き
クリニックの移転開業では、さまざまな手続きがあり、そのうえ手続き場所が4か所もあるため、やることは非常に多いです。
まずは、クリニックの移転開業で必要な手続きについて見ていきましょう。
手続きは8ステップ
クリニックの移転開業で必要な手続きは、次の流れで進めていきます。
1.都道府県に定款の変更認可への仮申請を行う
2.審査後に定款の変更認可への本申請
3.審査稟議後に認可書を受け取る
4.保健所に診療所開設許可を申請する
5.保健所に診療所廃止届・診療所開設届を提出する
6.法務局で移転登記申請を行う
7.厚生局への保険医療機関廃止届・保険医療機関指定を申請する
8.都道府県に医療法人登記事項の届出を提出する
定款の変更認可は、仮申請と本申請の2回の申請が必要です。申請のたびに審査と審査稟議があるため、認可を受けるまでに期間がかかることを覚えておきましょう。
また、厚生局に保険医療機関廃止届・保険医療機関指定を申請する際には、開業地エリアの厚生局を利用してください。別のエリアに申請すると、申請し直しになるなどの手間が増えるので注意しましょう。
申請・提出先は4つ
クリニックの移転開業の手続きを進めるにあたって、申請や提出先となるのは大きく4つです。
・都道府県(定款の変更認可)
・保健所(診療所開設許可申請、診療所廃止届、診療所開設届)
・法務局(移転登記申請)
・厚生局(保険医療機関廃止届、保険医療機関指定申請)
クリニックの移転開業に関する申請先や提出先は全く異なります。手続きについて不明点がある場合には、申請・提出内容にもとづき適した機関へ相談しましょう。
クリニック移転開業の手続きにかかる期間
クリニックの移転開業の手続きを進める場合には、どれくらいの期間がかかるのでしょうか。移転開業が初めての方は、以下を参考にしてスケジュールを立てましょう。
期間は個人差がある
クリニックの移転開業にかかる手続きの期間は、申請のタイミングなどによって大きく異なるため一概には言えません。各機関での審査の期間がバラバラであるうえに、申請者本人がどのようなスケジュール感で手続きを進められるのかでも違いが生じます。
すぐに対応を進め、審査もスムーズであれば1~2か月程度で完了することもあります。
審査だけで2~3か月要することも
クリニックの移転開業に関する手続きは個人差があるものの、長いケースでは、2~3か月かかる場合もあります。とくに、定款の変更認可申請は審査期間が長くなることも多いため、スケジュールには余裕を持って対応することが求められます。
開業日までに手続きが間に合うよう、計画的な手続きスケジュールを立てましょう。
クリニック移転開業における手続きの注意点
クリニック移転開業における手続きには、いくつか注意点があります。いざ手続きを開始してから慌てることにならないよう、以下の注意点を把握したうえで申請を進めていきましょう。
手続きには期日がある
クリニックの移転開業のための手続きで、まず注意したいのが「各手続きには期間があること」です。手続きごとに、以下の期日までに申請する必要があります。
・診療所廃止届(廃止日から10日以内に申請)
・移転登記(開設日から14日以内に申請)
・診療所開設届(開設日から10日以内申請)
・診療所開設許可申請(開設の15日以内申請)
上記の通り、手続きの期間は10日~2週間程度しかありません。廃止したらすぐに手続きを行い、審査完了後にまたすぐに次の手続きを進めていくことが大切です。
旧診療所との距離によっては新規開設になる
クリニックを移転開業するにあたって、旧診療所との距離次第で新規開設として扱われることを覚えておきましょう。
クリニックを移転する場合、新しく開業する診療所との距離が2kmであれば「移転」とみなされ、保険診療継続が可能です。しかし、2km以上の距離となる場合には、新規開設と扱われるため注意しなければなりません。
移転前に旧診療所と新たな診療所との距離を測ったうえで必要な手続きを調べましょう。
診療できない期間はなるべく短縮する
廃業した後や移転の手続き中は、診療できなくなるため、当然報酬も受け取れなくなるため注意してください。
なるべく空白期間を作らないためにも、旧診療所を廃止する時期と、移転先で開業する時期が合うようにスケジュールを調整することが重要です。
おわりに
本ページでは、クリニックの移転開業を検討している方へ向けて、必要な手続きやステップ、注意点などについて解説しました。
クリニックの移転開業における手続きは、ステップが多いうえに申請先も異なるため、正しく理解したうえで進めていく必要があります。
今回ご紹介した内容をヒントにしながら、適切なスケジュールを立てて、移転開業のための手続きを進めていきましょう。