
最終更新日:2022年07月06日
介護施設には、ユニバーサルデザインを取り入れるべきとの声を聞いたことがある方は多いのではないでしょうか。広く浸透しているバリアフリーとの違いがわからず、悩んでいる方もいるでしょう。そこで今回は、ユニバーサルデザインの特徴や例、バリアフリーとの違いなどについて詳しくご紹介します。
ユニバーサルデザインとは
ユニバーサルデザインとは、直訳すると「普遍的・万人向けのデザイン」です。1980年代にアメリカの建築家「ロナルド・メイス」が提唱した考え方で、「調整や追加要件なしで誰もが利用しやすいデザイン」と定義づけています。つまり、ユニバーサルデザインに決まったデザインはありません。
ユニバーサルデザインの7つの原則
ユニバーサルデザインには、次の7つの原則があります。
- 全ての人が利用できる「公平性」
- 自分に合った方法を選べる「自由度」
- 簡単に利用できる「単純性」
- 即座に理解できる「わかりやすさ」
- 危険がない「安全性」
- 少ない力でも利用できる「体への負担の少なさ」
- 使いやすさを担保する空間「スペースの確保」
全てを満たす必要はなく、上記いずれかを満たしたデザインのものを作ることが大切です。
ユニバーサルデザインとバリアフリーの違い
ユニバーサルデザインについて学ぶ際は、バリアフリーと似ていることに気づくのではないでしょうか。バリアフリーとは、高齢者や障がい者などが若者や健常者とのハンディキャップを埋めるために、物理的な障害を取り除く考え方です。例えば、階段の横にスロープをつける、段差をなくす、手すりをつけるといった方法があります。
一方、ユニバーサルデザインは高齢者や障がい者だけではなく、全ての人の利用を想定しています。
介護施設のユニバーサルデザインの例
それでは、介護施設のユニバーサルデザインの例をご紹介します。
トイレ
トイレには、バリアフリーの観点から手すりが設置されている場合があります。しかし、トイレが壁側に寄っており、車椅子から便器に移ることが難しく、全ての人が利用できる状態ではないケースも少なくありません。
トイレの左右どちらからでも便器に移ることができるようにスペースを確保しつつ、低い位置にも手すりを設置することで、体格の差や障がいの種類による差を解消できます。また、トイレの標識をわかりやすくすることもユニバーサルデザインの1つです。
例えば、トイレやお手洗い、男女のシルエットだけでは、トイレだとわからない人がいます。この場合、トイレの写真を入り口に貼ると、もっとわかりやすくなるでしょう。
食堂
食堂のように食事をとる場所にもユニバーサルデザインを取り入れることができます。例えば、テーブルは体格によって利用しやすさに差が生じますが、高さ調整ができるテーブルであれば、どのような体格の人でも快適に利用できるでしょう。
また、車椅子から椅子へ移る際に、テーブルが邪魔であったり、椅子を引くことが難しかったりする場合があります。回転式の椅子であれば、簡単に椅子の角度を変えて車椅子から移れます。
自動ドア
自動ドアもユニバーサルデザインの代表例です。ドアを手で開けるには、ある程度の力が必要ですが、自動ドアは前に立つだけで開くため、力の差が利用しやすさに影響しません。両手に荷物を持っている人、子どもを抱いている人、車椅子の人、松葉杖をついている人など、誰でも安全かつ快適に利用できます。
点字
今では身の回りに溢れている点字ですが、これもユニバーサルデザインの1つです。視覚障害者の人も健常者と同じように物や場所を認識するためには、あらゆるところに点字を設置する必要があります。
介護施設においても、部屋番号、部屋の種類、避難経路、出入り口までのルートなどがわかるように、点字を設置することが大切です。入所者に視覚障害者の人がいなくても、面会に来る人に視覚障害者の方がいる場合があるため、点字は設置した方がよいでしょう。
センサー式蛇口
蛇口をひねるには少しだけ力が必要です。また、蛇口に手を伸ばさなければなりません。センサー式蛇口であれば、蛇口の下に手を出すだけで水が出るため、蛇口を回す力や体を伸ばす必要がなく、誰でも利用できます。
まとめ
ユニバーサルデザインを取り入れることで、誰もが快適に利用できる介護施設になります。ユニバーサルデザインの導入実績がある業者に相談することで、介護施設に合った方法を提案してもらえるでしょう。
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