
最終更新日:2023年08月31日
「自由診療のクリニックを開業したい」「既存クリニックに自由診療を取り入れたい」など、近年自由診療の導入を検討する開業医の方が増えています。開業医として独立するにあたって、漢方治療などのような保険適用外の医療サービスも提供したいと考える方が多いことが背景にあります。
とはいえ、自由診療を取り入れるのであれば、正しい導入方法をきちんと把握したうえで実践することが大切です。
今回は自由診療の導入を検討している方へ向けて、自由診療クリニックの開業・導入手順、注意点などについて幅広くご紹介します。
自由診療クリニックについて
自由診療クリニックとは、医療保険適用外となる治療のことです。医療技術だけではなく、薬剤の提供等も該当するのが特徴。医療保険が適用されないので、治療にかかった費用は患者様が100%負担します。
ちなみに、自由診療クリニックと聞くと、美容整形外科をイメージする方が多いですが、ほかにも、視力矯正手術や胃内視鏡検査、男性型脱毛症治療、インプラントなどさまざまな治療があります。
自由診療クリニックを新規開業する際の手続き
自由診療クリニックを開業する際には、クリニックの開設から10日以内に開設届を提出しなければなりません。提出先は保健所となるので、忘れないようにしておきましょう。
また、開業するにあたって、提供する医療サービスが自由診療及び保険診療の両方である場合には、上記の開設届に加えて、厚生局で「保険医療機関指定申請」の手続きを行います。
必要書類や注意事項などがありますので、あらかじめ厚生局に確認をしておきましょう。
既存クリニックが自由診療を取り入れる際の手順
既存クリニックが自由診療を取り入れる場合には、どのようなステップを踏んで進めていけばいいのでしょうか。
ここからは、既存クリニックで働く開業医の方が、自由診療を取り入れる際の手順について詳しく解説していきます。
メニュー・価格の決定
既存クリニックが自由診療を導入する際には、まずはメニューや価格を決定する必要があります。メニューを決める際には、既存の患者様が違和感や不信感を覚えることのないよう、現時点で提供している診療科目に関連するメニューの提供が望ましいでしょう。
また、既存の患者様にも提供できるようなメニューであると、より収益につながりやすくなるのでおすすめです。
業者や機器を選定
どのような業者から、どんな機器を購入するのかといった点は、既存クリニックが自由診療を導入するにあたって重要なポイントです。自由診療を提供するのであれば、信頼できる業者から安心して使える機器を購入することが大切。
そのためにも、勉強会に参加したり、競合となる他のクリニックの情報収集をしたりして、納得して導入できる業者・機器を探す必要があります。
また、診療科目によっては、「似たような機能を持つ機器」「違いが分かりにくい複数の機器」なども多く展開されています。自分のクリニックに最適な機器を導入するためにも、実際に業者に問い合わせて違いを確認するなど、徹底した情報収集を心がけてください。
技術・スキルの習得
新しく提供を始める自由診療メニューが、これまでに対応していなかった分野である場合には、技術やスキルの習得が求められます。たとえば、皮膚科として肌の疾患を中心に治療してきた医師が、美容皮膚科の領域にも診療を広げるのであれば、最新機器の知識や技能を培う必要があるでしょう。
機器の開発・提供をしているメーカーが勉強会を開催していたり、研修・セミナーを実施していることもあるので、積極的に参加してスキルアップに努めることが大切です。
自由診療メニュー導入の周知
自由診療メニューを導入したら、きちんと周知する必要があります。せっかく、新しいメニューを導入しても、一般に知られていなければ治療を受けてもらうことができません。
院内に自由診療メニューに関するチラシやポスターを掲示したり、クリニックのホームページで情報発信したりして、認知度を高める工夫をしましょう。
カウンセリング・アフターフォローの徹底
自由診療メニューでは、カウンセリングとアフターフォローの徹底が欠かせません。いずれも、リピーターの獲得につながるだけではなく、クリニックとしての信頼性にも大きく関わります。
カウンセリングではメニューの詳しい説明を行い、患者様の声にも耳を傾けてニーズをチェックします。
アフターフォローでは、治療後の体調や様子について丁寧に向き合い、患者様に寄り添うことが大切。また、次回の予約につながるよう、どのようにアフターフォローをすべきか、仕組みづくりやきっかけづくりにも目を向けましょう。
自由診療を導入するときの注意点
自由診療を導入するにあたって、もっとも注意したいのが価格設定です。機器の導入にはコストがかかるうえに、勉強会や研修への参加など手間も増えることから、料金設定を高く設定したいと考える方は少なくありません。
しかし、どれだけ良い診療メニューであっても、価格が高すぎては患者様の獲得にはつながりにくくなってしまいます。
また、国内で認可されていない機器・薬品を使用する場合には、思わぬトラブルが発生することもあるので注意してください。海外製のもので、サポートが不十分であったり、前例が少なくトラブルが予測できないものであったりする場合には、導入には最新の注意を払いましょう。
おわりに
近年、開業医を中心に注目を集めている「自由診療」。導入したいと考えているものの、どのように取り入れればいいのか、悩んでいる方も多いものです。
今回は、そんな自由診療に興味のある方へ向けて、自由診療における必要な手続きや導入手順などについてご紹介しました。
ぜひ、本ページを参考にしながら、自由診療を取り入れたクリニックの開業を目指してみてはいかがでしょうか。