
最終更新日:2023年06月06日
福祉施設を建設するにあたって重視したい設計デザイン。しかし、デザインの分野に知見がない方にとっては、どのような設計デザインが適しているのか、イメージしにくいものです。
一見難しそうに感じる設計デザインですが、いくつかおさえておくべきポイントを把握しておくことで、福祉施設を理想に近づけて建設することが可能です。
そこで、今回は福祉施設における設計デザインのポイントをご紹介します。
福祉施設における設計デザインのポイント
さっそく、福祉施設を建てる際の設計デザインのポイントに触れていきます。
どのようなポイントをおさえたうえで、設計デザインを考えればいいのか、ぜひ参考にしてみてください。
過ごす人々の目線で全体をイメージする
福祉施設に訪れるもしくは入居する利用者のほか、その家族、働く職員など、その場で過ごすすべての人々の目線で、施設の全体をイメージしましょう。
可能な限り、さまざまな立場・役回りから意見をヒアリングし、どのような工夫・配慮が必要なのかを見極めることが大切です。
明るく開放的な空間を目指す
窓からの採光や、解放感のある平面設計、風が通り抜けやすい窓の配置などを工夫し、明るく広々とした空間になるように目指しましょう。
福祉施設における明るさは、利用者や職員の心の健康にもつながるため、意識すべき部分といえます。
ポジティブな印象を感じるデザインに
無機質になりやすい空間にアクセントを取り入れてみたり、照明を高級感のあるデザインにしたりするなど、ワクワク感やリラックス感、楽し気な雰囲気など、ポジティブな印象を感じるものにしましょう。利用者が心地よく過ごせるよう、福祉施設での新しい生活が前向きになれるような、元気な空間づくりは重要です。
「施設感」をおさえた工夫を施す
福祉施設は、「施設感」が生まれやすいのが難点です。利用者としても、まるで病院に住んでいるような感覚を覚えることもあるため、一人ひとりに目を向けた工夫が必要です。たとえば、部屋ごと・利用者ごとに家具や内装を変えてみたり、家庭のような温かい雰囲気の共用スペースを設けることがおすすめです。
利用者の動線・動作に配慮
利用者のメンタルケアにつながるような配慮は大切ですが、根本的な部分である「利用者の快適な暮らし」にも目を向けなければいけません。
解消すべき段差はないか、洗面台などが足腰の負担になるような高さになっていないか、など暮らしやすさに直結する部分はきちんとチェックしましょう。
親しみやすい外観・エクステリアにする
外観やエクステリアは、その施設の顔ともいえる場所です。どのような建物デザインであるかで、利用者や、これから利用したいと考えている本人・家族への印象が左右されます。
親しみやすく、なおかつその建物のシンボルとなるような要素を取り入れると信頼性が高いといったイメージの確立にもつながります。
職員の目が届きやすい設計に
福祉施設は利用者だけではなく、そこで働く職員の「働きやすさ」にも目を向けることが大切です。とくに、利用者の安全性を確保するためにも、職員の目が届きやすい設計にする必要があります。
基本的には平面設計で、屋外もある程度視線が届くような設計が好ましいでしょう。
利用者同士のコミュニケーションを増やす工夫を
利用者同士が施設での生活で「楽しさ」を見出せるよう、コミュニケーションが促されるような工夫を施すことがおすすめです。たとえば、身体を動かせるスペース、自然と利用者が集まりやすい中庭、一人でも複数人でも過ごせる自由スペースなどがあると、施設での生活の質はぐっと高まるでしょう。
プライバシーにも配慮する
利用者一人ひとりのプライバシーを尊重するデザインを採用することも忘れてはいけません。利用者が就寝したり、着替えたりする個室は、屋外から見えないように窓の位置や大きさに注意する必要があります。
また、共有で利用する浴室やトイレなども、安全面だけを重視するのではなく、利用者の尊厳を保ったうえで利用できるように配慮しましょう。
感性を刺激するようなワクワクするスペースを心がける
福祉施設において、「ワクワクできるスペース作り」は、非常に重要です。利用者は入居が始まったその日から、長く過ごすことになるので、生活にマンネリが生じやすいのが事実です。
同じ毎日の繰り返しになりがちな施設での日々に、少しでも変化を感じられるように、季節の植物をエクステリアに揃えたり、食堂から立ち込める香りを楽しんだりできるようにすると、利用者の満足度が高くなりやすいでしょう。
福祉施設における設計デザインの注意点
福祉施設の設計デザインでは、自分のイメージだけで計画を立てるのではなく、さまざまなデザイン事例を参考にしてみたり、施設で働く人々の声に耳を傾けたりしながら進めていくことが大切です。
独断で設計デザインを決定してしまうと、いざ建築が完了してから「もっとこうすればよかった」と後悔することになりかねません。さまざまな意見やアイデアに触れたうえで、自分の理想を明確にしていくことを忘れないようにしてください。
設計デザインに迷ったときには?
設計デザインで迷ったときには、設計事務所やデザイン会社などへの相談をおすすめします。
設計デザインに特化した業者であれば、「福祉施設」という特色に沿って、さまざまな事例やアイデアを提案してくれます。
また、今後の事業の進め方などに合わせた設計についても相談できるので、デザインのプランに不安がある方は、プロへの相談を検討してみてください。
おわりに
設計デザインは、利用者やその家族、職員のためになるよう、慎重にプランを立てていく必要があります。
今回ご紹介した内容をヒントにしながら、満足度の高い設計デザインの考案を進めていきましょう。