
最終更新日:2023年06月06日
高齢者向けのグループホームを開業したいとき、知っておかなければならないのが「加算」の制度です。
介護業界に限らず、さまざまな業界で加算が定められていますが、高齢者グループホーム独自の加算も存在するため、正しく理解を深めておかなければなりません。
そこで、今回は高齢者向けのグループホームのさまざまな加算について詳しく触れていきます。
「加算」とは
そもそも介護の加算とは何かをご存じでしょうか。
介護の加算は、介護事業所が受け取る報酬のことです。しかし、受け取れるのは、国が定めた基準を満たす事業所のみ。必ずしも、すべての介護事業所に報酬が支払われるわけではありません。
この加算の仕組みは、利用者から支払われる利用料が大きく関係しています。
契約した利用者へのサービスに対する介護報酬は「基本報酬」と「加算・減算」の2種類に分類されます。基本報酬は、サービス内容や利用者の要介護度、サービスの提供時間などで支払われる金額が変動します。
一方、加算は、専門職・有資格者の人数や配置などのほか、専門的なサービス提供の有無などで、報酬が変わる仕組みです。他にも、緊急時の体制構築や中重度者の受け入れなどがあります。
グループホームにおける加算の種類一覧
グループホームにおける加算の種類は多いので、どのような加算があるのか、それぞれの特徴は何なのかについて見ていきましょう。
夜間支援体制加算
夜間の勤務で、国が定めた基準以上の人員を配置できていたら加算が可能。
グループホームの場合、1ユニットで2名以上、2ユニットでは3名以上で算定できます。
若年性認知症利用者受入加算
若年性認知症の方を受け入れた場合に加算が可能です。ただし、対象となる利用者の年齢は40歳から65歳といったルールがあります。
初期加算
初めてグループホームを利用した入居者1人あたりに加算されます。利用が初めてでは、利用者が新しい環境・生活に慣れるためのサポートの手間・時間がかかることから、制定された加算です。
看取り介護加算
利用者を看取る体制が整っている事業所に加算されます。グループホームの利用者の死期が迫っている中、本人や家族の意思を尊重したり、最期まで手厚く介護を行ったりする必要があることから設けられました。
認知症専門ケア加算
認知症の利用者に対して、介護サービスを提供している場合に加算が可能です。しかし、国もしくは自治体が提供する専門研修の修了が必須であり、修了後も一定期間の勤務が条件として定められています。
サービス提供体制強化加算
介護福祉士の資格を保有するスタッフや、勤続年数3年以上のスタッフ、常勤者などが一定以上の人数が働いているグループホームに限り加算できます。
入居者の入退院支援の取り組み
入院してから3か月以内の退院が予定されている利用者がいる場合に加算が可能です。加算時期は、利用者が退院した後であり、再入居であっても1か月6日までであれば基本報酬への加算が認められています。
退居時相談援助加算
グループホームに入居してから1か月以上の利用者が退去した後に、その後に利用する別の福祉サービスについて、相談に応じたら加算されます。
生活機能向上連携加算
生活の機能向上のための取り組みを行っている事業所に加算されます。主に「訪問リハビリテーション」「通所リハビリテーション」「医療提供施設(リハビリ実施している施設)」の専門家が、グループホームで利用者の身体に関する評価などを行った場合に算定します。
口腔衛生管理体制加算
グループホームに月1回以上の頻度で歯科衛生士が介護職員に対する口腔ケアの技術的指導を行っている場合に加算できます。
栄養スクリーニング加算
利用者の栄養状態を確認し、その情報を計画作成担当者に文書で共有すると加算されます。
介護職員処遇改善加算
介護職員が働きやすいように取り組みを行っている事業所に加算されます。たとえば、離職を回避するために労働環境を改善したり、将来的なキャリアビジョンに基づいた学習機会の提供など、働く職員のために一定の取り組みを行っているグループホームが対象です。
医療連携体制加算について
グループホームに関わる加算の種類の中には「医療連携体制加算」と呼ばれるものがあります。これは、利用者が認知症でなおかつ環境の変化に敏感な方である場合、グループホームでの生活に支障が生じないように環境や体制を整備している事業所のための加算です。
具体的には医療体制が整備されているか否かで評価が変動し、算定要件は順番にⅠ、Ⅱ、Ⅲと増えていきます。
おわりに
グループホームを設立するのであれば、報酬の仕組みについて正しく理解しておく必要があります。
特に「加算」は収入を高める際の直接的な部分となるので、事前に把握し、設立した事業所の特性と照らし合わせながら、どのような加算が可能なのかを考える必要があります。
グループホームの種類や加算の仕組みなどで疑問を感じている方は、適宜本ページを参考にしてみてください。