
最終更新日:2023年05月19日
介護関連の福祉サービスを提供しているのは、日本だけではなく海外も同様です。
しかし、文化や習慣などが国ごとに違うため、福祉サービスの内容や、介護事情にも違いがあります。
こうした国ごとに異なる介護事情については、福祉関係者からすると気になる部分なのではないでしょうか。
そこで、今回は海外の介護事情について詳しく解説します。併せて、海外と比較した日本の介護の魅力にも触れていくので、ぜひチェックしてみてください。
日本と海外の平均寿命の違い
平均寿命は国によって異なりますが、日本は世界的に見てもかなり長寿な国です。厚生労働省の国際比較によると、男性の平均寿命は81.47歳、女性は87.57歳とかなり高齢な傾向にあります。
しかし、他の国を見てみると、その平均寿命には違いがあります。日本以外の平均寿命については、以下を参考にしてみてください。
オーストラリア:81.19歳 85.34歳
スウェーデン :81.21歳 84.82歳
フランス :79.26歳 85.37歳
アメリカ合衆国:74.2 歳 79.9歳
中国 :73.64歳 79.43歳
南アフリカ :62.5歳 68.5歳
オーストラリアやスウェーデンなどは、日本同様に平均寿命が男女ともに80代ですが、フランスの男性やアメリカ合衆国、中国などの平均寿命は70代です。
南アフリカに関しては、男女共に60代が平均寿命であり、日本との大きな差があることがわかります。
海外の介護事情について
ここからは、海外の介護事情について解説をしていきます。
日本とはどのような違いがあるのかを見ていきましょう。
オーストラリア
オーストラリアは、日本とは異なり介護保険制度は存在しません。介護財源は一般税であり、介護サービスの利用者は「老齢年金」として受け取ることができます。
しかし、保険料を納める必要はなく、介護サービスを利用する高齢者に金銭的な負担がかかりません。
また、オーストラリアは、介護者への支援が手厚く、負担軽減のために手当の支給や支援センターの利用推進、レスパイトケアの推進などに尽力しており、被介護者・介護者ともに暮らしやすい国です。
スウェーデン
日本が介護保険制度を導入するにあたり、影響を受けた国であるスウェーデン。医療費の自己負担額は高くても年間1万円ほどであるうえに、18歳以下に関しては一切の費用がかかりません。
税率が高い国(標準消費税25%、食料品消費税12%)である分、福祉サービスは非常に充実しています。
高齢者向けの福祉では、在宅介護サービスが拡大されていたり、住宅改造資金手当があったりするなど、幅広い介護支援が行われています。
アメリカ合衆国
アメリカの介護保険は、日本と比べるとやや不足が目立つ状況です。
加入が義務付けられている保険制度は存在せず、民間の介護保険が高齢者の生活を支えると考えられています。しかし、その保険料は高額であり、経済的に余裕がないと加入のハードルは高いと言えます。
そのため、基本的に高齢者は家族が介護を行うことが多く、福祉施設ではなく在宅で過ごすケースがほとんどです。
中国
日本と似た境遇である中国。急速に高齢化が進んでいて、2020年11月時点では、2億人弱が高齢者であるといったデータもあります。
しかし、介護保険の整備や介護サービスの普及がまだまだ追いついておらず、施設によっては満室で利用が数十年先といったケースもある状況です。
また、農村は若い世代が都市部に働きに出ていくケースが増えたことで、高齢者の一人暮らしが増えつつある状況です。在宅介護の需要が高く、家事の援助や介護の援助などのサポートが人気を集めています。
デンマーク
スウェーデン同様に、消費税25%、所得税55%と非常に高い水準の税率であるのがデンマークです。
しかし、その分社会保障が日本よりも充実しており、医療費や大学卒業までの教育費、出産費用に至るまですべて無料です。
また、在宅ケアの政策に力を入れていて、要介護認定を受けていなくても在宅介護サポートが受けられるといった魅力があります。
日本の介護の魅力とは?
海外のさまざまな介護事情を読んでみて、魅力的に感じる部分も多かったのではないでしょうか。しかし、日本にも海外にはない介護の魅力が存在します。
たとえば、介護が必要になったとき、介護サービスの利用が前提で制度が整えられています。
海外と比べて、デイサービスや訪問介護、老人ホームなど、福祉施設の種類も豊富で、選択肢が多い傾向です。
近年は、介護職員の人手不足が叫ばれているものの、ロボットの活用も視野に入れて、カバーするといった解決にも力を注いでいる状況です。
当たり前のように介護サービスを利用できて、安全かつ安心して老後を過ごせるのは、日本の介護の魅力でしょう。
おわりに
介護の在り方や形は国によって異なり、制度の課題も国ごとに違いがあります。
もちろん、日本も海外の介護事例を見習う部分はありますが、日本における介護の水準は高いと言えます。
これから先、高齢化が進む国はどんどん増えていくことが予想される中、介護についての理解を深めることは重要です。
ぜひ、これを機に国内外の介護事情に目を向けて、勤務先やこれから開業しようとしている施設の在り方について考えてみてはいかがでしょうか。