
最終更新日:2023年04月19日
近年、福祉施設では空調設備に対する見直しが進んでいます。とくに、夏場はこれまでに類を見ないほどの猛暑日が続くことが増え、空調設備なしで夏を乗り切ることに危険信号を唱える専門家も少なくありません。実際、ここ数年で室内外を問わず熱中症を理由に死亡する事故が後を絶たず、自力で体調管理や温度調節ができない利用者がいる福祉施設としては、空調設備の設置は必須です。
そこで、今回は福祉施設における空調設備の必要性やコスト、導入にあたっての見直しポイントなどについてご紹介します。
福祉施設の空調設備を完備する必要性
福祉施設では、なぜ空調設備の完備画必要なのでしょうか。
まずは、福祉施設における、空調設備の必要性について見ていきましょう。
利用者の病気や事故のリスクを低減
福祉施設の空調設備を完備する必要性として、まず挙げられるのが高齢の利用者の病気や事故のリスクを低減することです。
空調設備の完備は、真夏の熱中症を軽減するだけではなく、真冬の気温差における寒暖差でのヒートショックを軽減にもつながります。
高齢の利用者にとって、「暑い環境」「寒い環境」は体への負担が大きいため、病気や事故のリスクを高めます。利用者が安心して過ごせるようにするためにも、空調設備の管理は必須といえるでしょう。
快適な環境づくり
福祉施設が空調設備を完備したほうがいい理由としては、快適な環境づくりが挙げられます。
利用者はもちろんのこと、その家族や施設を支えるスタッフなどが、気温に左右されずに快適に過ごせることは重要です。単純に過ごしやすくなるのはもちろんのこと、空調設備が整っているか否かは、施設のイメージにもつながります。現時点で利用をしていなくても、いずれ利用したいと考えている本人や家族に対してアピールポイントにもなるため、空調設備の完備は必須といえます。
空調設備とコストについて
空調設備を導入するにあたり、気になるのがそのコストであると思います。
施設が大きければ大きいほど、コストが高まるのは事実です。とはいえ、具体的にどの程度高くなるかは想像したことがあるでしょうか。
ここからは、空調設備とコストの関係について詳しく解説します。
省エネ性能について
空調設備を導入するにあたり、コストを考えるのであれば「省エネ」は外せません。
福祉施設は、基本的に24時間365日常に空調設備を動作させていることになります。電気代のコストだけではなく、定期的なメンテナンス費用も関わることなので、空調設備を導入するのであれば、費用に関してはしっかりと把握しておかなければなりません。
省エネ性能が高ければ、全体のコストを安価に抑えやすくなるので、購入する空調設備が、割高であるか否かをきちんと確認したうえで、導入を検討しましょう。
建物における断熱性能について
空調設備におけるコストは建物の機能性も大きく関わります。たとえば、建物の断熱性能が高ければ、室内の温度を保ちやすくなるもの。外気温に影響されにくくなり、空調設備で設定した温度を保てるので極端に音頭を上げて設定したり、下げたりする必要はありません。
結果的に電気代の節約につながり、コストを下げることが可能となります。必ずしも、空調設備におけるコスト削減には、省エネ性能の高さだけが鍵となるわけではありません。
換気機能について
空調設備を導入する際、注意したいのが換気機能です。近年は、オゾン発生器や空気清浄機など、機能性の高い機器が増えてきています。しかし、どれだけ機能性が高いものであっても、換気は必須です。とくに、福祉施設の場合は、免疫力の低い利用者や、軽い風邪でも重篤化するリスクの高い利用者も多く、ウイルスを蔓延させないためにも定期的な換気は必須となります。
換気機能のある空調設備を導入すれば、利用者はもちろんのこと、スタッフの健康管理にもつながるのが魅力。そのうえ、施設のアピールポイントにもなり、集客効果も望めます。
空調設備における注意点
空調設備の導入時に注意することは何なのでしょうか。
ここからは、知っておきたい注意ポイントをご紹介します。
利用者にとって適切な温度・湿度を知る
空調設備を導入する前に、そもそも利用者にとって適切な温度や湿度はどれくらいであるのかを把握しておきましょう。適切な温度を知ることは、設備選びのヒントにもなるので、設置前に正しく理解しておく必要があります。
高齢の利用者にとって適切な温度は、22~25度程度、湿度は60%です。これ以上・以下の温度や湿度となってしまうと、体調不良や免疫力の低下などにつながるため注意しましょう。
エアコン以外にも必要な機器を導入する
空調設備と聞くと、真っ先にエアコンをイメージする方が多いと思いますが、必要に応じて他の機器を導入することも重要です。
たとえば、空気清浄機や温度計、加湿器、サーキュレーターなど、利用者が快適に過ごせるように、さまざまな空調設備を組み合わせて使用することをおすすめします。
おわりに
空調設備は、福祉施設において必要な設備の一つです。とくに、利用者の中心が高齢となる福祉施設の場合、病気や体調不良を未然に防ぐためにも、空調設備の導入は必須。適切な温度・湿度に保てるような空調設備を比較・検討したうえで導入することが大切です。
今回ご紹介した内容を参考にしながら、施設に導入する設備を探してみてはいかがでしょうか。