
最終更新日:2023年02月20日
介護医療院は、2017年4月に創設されました。少子高齢化社会が進む日本において、介護サービスを支える重要なサービスとして注目されています。今回は、介護医療院の特徴やサービス内容、人員基準などから施設の建築のポイントまで詳しく解説します。
介護医療院とは
介護医療院とは、医療的ケアが必要な要介護の人が入所する長期療養施設です。要介護度に応じて入所できる施設の種類が異なるのですが、施設数が慢性的に不足しているために自宅や病院で待機している方が少なくありません。
従来の高齢者を対象とした福祉施設では、長期療養が必要な方が利用できる療養病床等がありましたが、現在では廃止されています。
介護医療院は、療養病床等の役割を担いつつも、住まいと生活を医療が支える新たなモデルとして創設されました。自立支援と利用者の尊厳の保持を理念とし、地域のための交流施設としての役割が期待されています。
介護医療院には3つのタイプがある
介護医療院には3つのタイプがあり、それぞれ利用者の基準やサービス内容が異なります。タイプ別に詳しくみていきましょう。
Ⅰ型
Ⅰ型は、介護医療院の中でも特に手厚い医療ケアを受けることができます。そのため、重篤な身体疾患に加えて、身体合併症を持つ認知症といった要介護度が高い人が利用します。
なお、Ⅰ型には「A型」と「B型」があり、A型の方が医療ケアの充実度が高くなっています。
Ⅱ型
Ⅱ型は、いずれ在宅介護への切り替えを想定したリハビリを含むサポート・ケアを受けられる施設です。Ⅰ型よりも比較的容態が安定した人の利用を想定しています。
医療外付け型
医療外付け型とは、「病院・診療所」と「介護保険施設等」の機能を備えているなど、医療機関が外付けされている施設です。Ⅱ型と同じく容態が比較的安定している人の利用を想定しています。居住スペースと医療ケアを受けるスペースが異なる点も特徴の1つです。
介護医療院のサービス内容
介護医療院では、次のサービスを提供します。
介護サービス
入浴・排せつ・食事といった生活の介助に加え、リハビリ、健康管理などを行います。
医療ケア
症状に応じて必要な医療ケアを提供します。例えば気管に問題がある場合は痰の吸引、薬の点滴などを行うでしょう。また、検査や看取りといった行為も医療機関と変わらない内容で行います。
生活サポート
生活サポートでは、掃除や洗濯といった日常生活をサポートします。また、孤立化を防ぐために地域住民との交流の機会を設けています。
介護医療院の施設基準
介護医療院は、8.0平方メートル以上の免責基準を満たしたうえで、プライバシーに配慮した環境整備が必要です。さらに、生活施設としての機能を持たせなければなりません。介護医療院の施設基準について詳しくみていきましょう。
療養室
- 療養室の定員は4人以下
- 入所者1人あたりの床面積は8平方メートル以上
- 地階に設けてはならない
- 出入口は避難上有効な空地、廊下または広間に直接面して設ける
- 入所者のプライバシーの確保に配慮した療養床の設置
- 入所者の身の回りのものを保管できる設備
- ナースコールの設置
診察室
- 医師が診察を行う部屋
- 喀痰、血液、尿、糞便などの臨床検査を行える施設(臨床検査施設)
- 調剤を行う施設
臨床検査施設に関しては、検体検査を業務委託するのであれば設置は不要です。
処置室
- 適切な処置に必要な広さを有する施設
- 診察の際に使用するエックス線装置が10キロボルト以上、なおかつその有するエネルギーが1メガ電子ボルト未満
機能訓練室
内法による測定で40平方メートル以上で、必要な機器・器具を備えている必要があります。ただし、併設型小規模介護医療院は、機能訓練の実施に必要な広さであり、なおかつ必要な機器・器具を備えていれば問題ありません。
その他
- 談話室……入所者同士やその家族が談話するために必要な広さがある
- 食堂……内法による測定で、入所者1人あたり1平方メートル以上の面積がある
- 浴室……身体の不自由な人が入浴するために必要な広さ、設備であること。また、入浴介助が必要な人の入浴に適した特別浴槽を設置すること
- レクリエーション・ルーム……レクリエーションを行うために必要な面積と必要な器具・機器の設置
- 洗面所……身体の不自由な人が利用できるもの
- 便所……身体の不自由な人が利用できるもの
介護医療院の人員基準
介護医療院には、次の人員基準が設けられています。
Ⅰ型
- 医師……入所者48に対して1人(施設で3人以上)
- リハビリ専門職……適当数
- 薬剤師……入所者150人に対して1人
- 看護職員……入所者6人に対して1人
- 介護職員……入所者5人に対して1人
- 栄養士又は管理栄養士……定員100以上で1人
- 介護支援専門員……入所者100人に対して1人(施設で1人以上)
- 診療放射線技師……適当数
- 調理員、事務員等……適当数
Ⅱ型
- 医師……入所者100人に対して1人(施設で1人以上)/li>
- リハビリ専門職……適当数
- 薬剤師……入所者300人に対して1人
- 看護職員……入所者6人に対して1人
- 介護職員……入所者6人に対して1人
- 栄養士又は管理栄養士……定員100以上で1人
- 介護支援専門員……入所者100人に対して1人(施設で1人以上)
- 診療放射線技師……適当数
- 調理員、事務員等……適当数
まとめ
介護医療院を開設する際は、人員基準や建築基準を満たす必要があります。適切にサービスを提供するためにも、しっかり準備して万全の状態で開院しましょう。
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