
最終更新日:2022年11月25日
電子処方箋は、紙ではなくデジタルデータで運用する処方箋のことです。業務効率化やミスの軽減など、さまざまな目的で導入されています。令和5年1月から運用が開始される予定で、多くの医療機関が導入準備を進めています。本記事では、電子処方箋の概要や仕組み、導入のメリット、必要な準備などについて詳しく解説します。
電子処方箋とは
電子処方箋とは、デジタルデータの処方箋のことです。オンライン資格確認システムの導入により、全国の医療機関・薬局における薬剤情報および処方・調剤結果の参照ができるようになります。
電子処方箋の仕組み
電子処方箋は、クラウド上に保管した電子処方箋データを全国の医療機関・薬局などが参照できるようにするものです。マイナポータルや電子版お薬手帳アプリとも連携できるようになる予定で、さらなる利便性の向上が期待されています。
電子処方箋のメリット
電子処方箋を導入することには、次のようなメリットがあります。
重複・禁忌などのリスクが軽減する
紙の処方箋は、当然ながら医療機関・薬局の間で共有できないため、他の薬局で受け取った薬との相性を正確に確認することは不可能です。作用の重複や禁忌となる薬を処方してしまい、医療過誤につながるリスクが高いと言えるでしょう。
電子処方箋は、過去3年間に処方された薬剤情報を確認できるため、より適切な薬学的管理が可能になります。
待ち時間が短くなる
電子処方箋によって業務効率が向上すれば、待ち時間が短くなります。従業員だけではなく患者の負担も軽減できるため、来院数の増加につながるでしょう。また、紙の処方箋は紛失や持参忘れのリスクがありますが、電子処方箋にそのような心配はありません。自宅に取りに帰ったり再発行してもらったりする必要もないため、速やかに薬を受け取ることができます。
円滑なコミュニケーション
電子処方箋の導入により、医師と薬剤師の間での情報共有が円滑化されます。コミュニケーションも円滑になり、患者へのより良い医療の提供につながります。
オンライン診療・服薬指導の利用促進
処方箋の原本をデジタルデータで受け取れることで、オンライン診療や服薬指導を行いやすくなります。紙の処方箋は患者が紛失してしまい、適切なオンライン診療・服薬指導を行えなくなる可能性があります。デジタルデータである電子処方箋は、紛失の心配が一切ありません。
電子処方箋の導入に必要な準備
- オンライン資格確認の導入
- 電子処方箋の利用登録
- 顔認証カードリーダーの導入
- 医師資格証または薬剤師資格証の申請
- 電子処方箋利用申請
- ICカードリーダーとソフトウェアの導入
- 電子処方箋管理サービス連携ソフトウェア
- 電子処方箋セキュリティアセスメントの実施
電子処方箋の課題
電子処方箋の課題は、マイナンバーカードの普及が前提であることです。マイナンバーカードを利用したオンライン資格確認を基板としていることから、マイナンバーカードの普及が進まない現状では電子処方箋の導入は難しいでしょう。
電子処方箋の利用イメージ
電子処方箋を利用した診療・薬局での薬剤の受取について、利用イメージを紹介します。
1.診察を受ける
対面またはオンラインで診療を受けます。処方箋を発行される際は、患者が医師に「電子処方箋を希望する旨」を伝えます。
電子処方箋を受け取る
薬を受け取る予定の薬局名を医師に伝え、その薬局が電子処方箋に対応していれば利用できます。医師が電子処方箋管理サービスにデータを登録し、専用の引換番号を患者に伝えます。
3.薬局で薬を受け取る
薬局で引換番号を提示すると、スタッフが電子処方箋管理サービスにアクセスして電子処方箋データを取得します。データに含まれる過去に処方された薬の情報を踏まえ、重複や禁忌などに注意して薬を準備し、薬の説明を行ったうえで渡します。
なお、健康保険証の機能を持つマイナンバーカードで本人確認する場合は、引換番号は不要です。
まとめ
電子処方箋を導入すると、より的確な医療の提供につながるうえに、待ち時間の軽減による患者数の増加が期待できます。ただし、電子処方箋はオンライン資格確認を前提としているため、マイナンバーカードが十分に普及しなければメリットを十分に感じられない可能性があります。
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