
最終更新日:2022年08月31日
医療機関を開設する際は、導入設備に応じて複数の手続きが必要です。開設するだけでは保険診療を行えない点にも注意しましょう。申請方法を誤ると、次回申請できるまでに期間が空く可能性もあります。そこで今回は医療機関の開設手続きの方法について、流れや注意点を詳しく解説します。
医療機関を開設する際に必要な手続き
医療機関を開設する際は、次の手続きが必要です。
- 診療所開設届(保健所)
- 保険医療機関指定申請書(厚生局)
- 麻薬管理者・施用者免許申請書(保健所)
- 診療所使用許可申請書 ※有床の場合(保健所)
- 診療用X線装置備付届(保健所)
- 結核予防法指定医療機関指定申請書(保健所)
- 生活保護法指定医療機関指定申請書(福祉事務所等)
- 母体保護法指定医師指定申請書(地区医師会)
- 労災保険指定医療機関指定申請書(労働基準監督署)
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診療内容や診療科によっては他にも手続きが必要です。対応する手続きを行わなければ、その行為は一切認められません。
医療機関の開設手続きの流れ
医療機関を開設する際は、それぞれの書類に応じて適切な手順で申請する必要があります。今回は、保健所と厚生局における代表的な手続きの流れを解説します。
保健所への申請
医療機関を開設した日から10日以内に、管轄の保健所へ開設届を提出します。開設した日は、診療を開始できる状態が整った日のことです。なお、病院や医療法人の場合は事前に開設許可申請の取得が必要です。また、臨床研修修了者でなければ、医療機関の管理者として登録できません。
さらに、医療施設の構造設備に不備がないことが許可を取得できる前提条件のため、事前に保健所と業者に相談する必要があります。すでに工事が終わっており、構造設備に不備が見つかった場合は改修しなければなりません。
構造設備を含め、法律上の要件を満たしているかどうかを確認するために、実地検査が行われます。検査日には2人1組の担当官が来院し、開設者か管理者が立ち会います。実地検査で問題がなければ、数日で開設届の副本が交付されるので、なくさないように保管しましょう。
厚生局への申請
厚生局には、保険医療機関指定申請を行います。申請が通ると指定医療機関コードが発行され、保険診療を行えるようになります。一部の診療科を除き、自費診療のみ行うことはないため、大部分の医療機関が申請することになるでしょう。
指定申請は毎月1日に行われるため、月の途中から保険診療を始めたくてもできません。前月のうちに準備して、毎月1日までに指定申請する必要があります。なお、指定申請は先に保健所へ開設届を提出し、開設届の副本の写しを添付しなければなりません。保健所と同じく厚生局にも事前に相談しておくとよいでしょう。
また、「基本診療科の施設基準等に係る届出書・特掲診療料の施設基準に係る届出書」も提出します。これらは、保険診療点数を算定するために必要な申請です。
医療機関の開設手続きと一緒に進めたいこと
医療機関の開設手続きと並行して、さまざまな準備を進める必要があります。次の2つは必ず行いましょう。
医療機関の建築・リフォーム
医療機関の建築・リフォームを行う際は、法律で定められた要件を満たした設計を定める必要があります。自身の調査だけでは細かな要件までは理解が難しいため、事前に保健所の窓口に相談しましょう。また、医療機関の建築・リフォームに特化した業者に相談することが大切です。要件を満たしていることに加え、開設者・管理者の想いを取り入れた施設を建築・リフォームしてくれます。
従業員の雇用
必要に応じて従業員を雇用しましょう。看護師や受付スタッフ、レントゲン技師、理学療法士、介護士など、医療機関の種類や規模、診療科などで必要な人材が異なります。医療従事者を募集する際は、周辺の医療機関の雇用条件を参考にしましょう。雇用条件が周辺地域の中で悪い場合、応募者が現れにくくなります。
まとめ
医療機関の開設手続きは、主に保健所と厚生局で行います。診療科や診療行為によっては他にもさまざまな申請が必要になるため、保健所の窓口に相談したうえで必要な手続きを行いましょう。また、並行して法律で定められた要件を満たす施設を建築・リフォームしなければなりません。まずは、医療機関の建築・リフォームに詳しい業者に相談することをおすすめします。
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