心地よい住まいづくりと、断熱性の役割【暮らしの土台を整える#1 断熱の基本】

住まいのレシピ

心地よい住まいづくりと、断熱性の役割【暮らしの土台を整える#1 断熱の基本】

住まいにおける快適さは、使いやすい間取りやおしゃれなインテリアだけでなく、暮らしを支える見えない性能にも宿ります。その中でも、一年を通して心地よく過ごすために欠かせないのが「断熱性」です。

夏の暑さや冬の寒さが厳しい日本では、断熱性を高めることで室内環境が安定し、家族の健康を守るだけでなく、光熱費の節約にもつながります。住まいづくりにおける断熱の重要性について、考えてみましょう。

断熱性って、どういうもの?

断熱性とは、室内外の温度差を最小限に抑え、快適な環境を保つための性能を指します。

日本のように四季の気温差が大きい地域では、夏は涼しく、冬は暖かく、一年中快適に暮らすために高い断熱性能を持つ住まいが必要です。

また、断熱性に優れた建物は冷暖房の効率が高まり、光熱費を抑えることができるので経済的なメリットも。快適性に加えて、省エネや環境負荷軽減の観点からも、断熱性の高い住宅が注目されています。

断熱等性能等級とは?

断熱等性能等級は、住宅における断熱性能を1~7の等級で示す基準です。数字が大きいほど断熱性が高く、低いほど断熱性が低い住宅ということになります。

2022年3月までは等級4が最も高い等級でしたが、2022年4月に等級5、さらに10月に等級6と等級7が新設されました。2025年以降に新築する住宅では等級4以上、2030年には等級5以上の義務化がされます。
SAWAMURAでは、性能とコストのバランスに優れた等級5相当を基準に、お客様のご要望やご予算に合わせてさらに高い断熱性能の家づくりもご提案しています。

等級4

平成11年に設定された次世代省エネ基準を満たした住宅。それまで基準が定められていなかった窓や玄関ドアなどの開口部にも複層ガラスを使用するなどの規定が追加されました。

等級5

等級4の基準よりもさらに厳しく、より高い省エネ性能が求められる住宅。太陽光発電などの創エネ設備の導入を想定した水準で、今後の標準仕様としても注目されています。

等級6

2022年に国の制度として新たに設けられた、等級5よりもさらに高い断熱性能が求められる住宅の基準。住宅の断熱性能を示す「UA値(外皮平均熱貫流率)」に基づいて評価され、冷暖房の効率を高めてエネルギー消費を抑えつつ、室内の温度差を小さく保つことで、より快適な住環境の実現が期待されます。

等級7

同じく2022年に新たに設けられた基準で、現在の断熱等性能等級の中で最も高いレベルに位置づけられる基準です。

※UA値:家の外と中の熱の出入りを、どれだけ防げているかを示す指標。数値が小さいほど断熱性能が高く、熱が出入りしにくい家であることを意味する。

先進国において最低水準。日本の住宅の断熱性能はなぜ低い?

快適な住まいのために必要な断熱性。しかし、イギリスやフランス、ドイツ、アメリカなどの欧米諸国に比べて、日本の住宅は断熱性が低く先進国の中では最低水準です。

欧米諸国では、「温かい家で生活することが人々の幸せにつながる」という考えが根底にあります。イギリスで行われた調査では、住宅の断熱性を高めることで、住まい手の健康状態が改善され、医療費の削減や生活満足度の向上にもつながったという結果が報告されています。(※)

このような背景もあり、欧米諸国では住宅に対して厳しい断熱基準が法律で定められていて、基準を満たしていない住宅は建てることができません。また、こうした規制は賃貸住宅にも適用されており、基準を満たしていない部屋は人に貸すことができません。

一方、日本にはこうした厳しい規制がありません。また、軽量でコストを抑えられることから、熱を通しやすいアルミサッシが今なお主流となっており、先進国の中でもその普及率は際立っています。加えて、日本の住宅は古くから夏の暑さへの対応を重視してきたため、通気性を優先した設計が多く、外気の熱を遮断するという発想が根付きにくかったとも言われています。

Warm Homes for Health End of study briefing 2016

断熱性能が高い住宅はどんなメリットがある?

断熱性が高い住宅に住むことは、私たちの生活にどんなメリットをもたらすのでしょうか。

冷暖房費の削減

断熱性能の高い住宅は、室内の暖かさや涼しさを効率よく保つことができます。さらに、適切な気密性を併せ持つことで、室内の空気が外へ逃げにくくなり、冷暖房の効果がより高まります。

これにより、室温を一定に保つためのエネルギー消費が抑えられ、冷暖房費の節約にもつながります。電気代やガス代の高騰が続く今、住宅の断熱性能は家計にとっても大きなメリットになると言えるでしょう。

結露の防止

冬、窓にたくさんの水滴がついているのを見たことはありませんか?結露は、空気中の水蒸気が冷やされて水滴となる現象です。断熱性能の低いアルミサッシの窓や、十分な断熱材が入っていない壁に水蒸気を含んだ空気が触れると、その表面が冷えて結露が発生しやすくなり、カビの原因になったり建物の劣化を早めたりする恐れもあります。

外気の影響を受けにくく室内の温度を一定に保ちやすい高断熱・高気密の住宅は、壁や窓が冷えにくいため結露を抑える効果がありますが、室内の湿度が過剰になれば結露が発生する可能性はゼロではありません。

そこで重要になるのが、空気を循環させるための換気システムです。24時間換気システムなどを適切に活用することで、湿気をこもらせず、室内の空気環境を整えながら、結露のリスクをさらに抑えることができます。

健康面でのメリット

住宅の断熱性を高めることで、室内の温度が安定し、身体への負担が少なくなります。2018年、世界保健機関(WHO)は、「住宅と健康に関するガイドライン」を公表。世界各国に、冬の室内の最低温度を18度以上にすることを強く勧告しました。室温が18度未満になるとさまざまな病気のリスクが高まることがわかっており、断熱性が高く一定の暖かさを保つことのできる住宅は、快適さや経済面だけでなく健康面にも大きなメリットがあると言えます。

また、冬場の寒暖差によるヒートショック(急激な温度差によって体に強い負担がかかる現象。特に冬場の住宅内で起こりやすい)のリスクや、気管支炎や喘息などの呼吸器系の疾患などさまざまな症状の緩和が期待できます。

断熱性の高い家のポイント

家づくりにおいて、断熱性の高い家を実現するためのポイントをご紹介します。

断熱材

外気の影響を抑え、室内の温度を一定に保つ役割を持つ役割の断熱材は、住宅の快適性やエネルギー効率を左右する重要な要素です。断熱材の種類や施工方法によって性能が大きく異なるため、適切な選択が必要です。

日本の住宅で多く使われているのが、ガラスを繊維状にしたグラスウール。施工コストが安価で手に入りやすい素材です。再生紙を原料とし、専用の機械で壁や天井の空間に充填するセルロースファイバーは、高密度で隙間なく充填できるため断熱性・防音性が高く吸湿性も優れているとして近年注目が高まっている断熱材です。

また、住宅の構造に合わせて吹き付けるウレタンフォームは、パネル型の断熱材とは異なり、隙間なく施工できるため断熱性や気密性がさらに高まります。

気密性

断熱性を最大限に発揮するためには、住宅の気密性を高めることも大切です。壁や床、天井のわずかな隙間から逃げる暖気・冷気により、室内の気温が一定でなくなるので、光熱費が増加してしまいます。気密性を高めることで断熱効果が一層引き出され、エネルギー効率の良い快適な住まいを実現できるのです。

断熱性と気密性は、住宅性能を高める上で密接に関係しています。気密性に関するお話は、別の機会に詳しくご紹介していきたいと思います。

開口部の断熱性

断熱性を考える際、重要なポイントの一つが開口部である窓です。冬の暖房時に窓から熱が流失する割合は約60%、夏の冷房時に窓から熱が流入する割合は70%以上といわれています。

樹脂製サッシなど熱伝導率の低いサッシと、ペアガラスやトリプルガラスなどを組み合わせた高性能な窓を取り入れることで、断熱性能が向上します。

 

住宅における断熱性は、デザイン等とは異なり目に見えにくいものですが、これからの人生を長く快適な環境で過ごすことを考えて、見えない部分までこだわった家づくりが大切です。

日々の暮らしを快適にするために、断熱性について今一度考えてみてはいかがでしょうか。


住まいのレシピ 一覧へ

LATEST

新着記事

時間をかけた分だけ、心が満たされる住まいに。家族の笑顔と思い思いの過ごし方が叶う、のびやかな暮らし【住まいの物語 #1】

時間をかけた分だけ、心が満たされる住まいに。家族の笑顔と思い思いの過ごし方が叶う、のびやかな暮らし【住まいの物語 #1】

暮らしのインタビュー

  • #住まいの物語
  • #戸建て
  • #インタビュー
心地よい住まいづくりと、断熱性の役割【暮らしの土台を整える#1 断熱の基本】

心地よい住まいづくりと、断熱性の役割【暮らしの土台を整える#1 断熱の基本】

住まいのレシピ

  • #断熱
  • #住宅性能
  • #戸建て
広さも明るさも、家族の笑顔も感じられる、吹き抜けのある家 | 施工事例5選

広さも明るさも、家族の笑顔も感じられる、吹き抜けのある家 | 施工事例5選

住まいのレシピ

  • #施工事例
  • #戸建て
  • #吹き抜け