最終更新日:2022年01月26日
高齢者向け住宅を運営する際は、維持管理費に注目が必要です。予想以上に維持管理費が高くなり、経営が成り立たなくなるケースは少なくありません。その原因は、事前に維持管理費の予算を決めておかなかったことです。また、維持管理費を節約する方法はさまざまですが、間違った方法で節約するとさまざまなトラブルが起きるリスクが高まります。そこで今回は、高齢者向け住宅事業の維持管理費とその節約方法について詳しくご紹介します。
高齢者向け住宅の維持管理費
高齢者向け住宅では、次のような維持管理費がかかります。
人件費
高齢者向け住宅では、介護士や看護師、栄養士などが在籍します。これらの人材に支払う給与やボーナス、各種手当てなどの人件費は、あらかじめ予算を決めておくことが大切です。モチベーションを高めてもらうために高額な給与を支払うと、後にひけなくなります。特別な事情がなければ従業員の給与を下げることはできません。
そのため、収支を踏まえて、「この金額であれば経営に影響は及ばない」という金額を決めましょう。
設備管理費
高齢者向け住宅の設備管理費には、照明やインターホン、ベッドなどの各種設備のメンテナンス、購入などにかかる費用があります。これらの費用は、高齢者向け住宅事業を展開するうえで必ずかかるものです。利用者の満足度を高めたいからといって最新設備をたくさん導入すると、維持管理費が増大します。
外注先との契約料
食事や介護などを事業者に外注する場合があります。外注先へ支払う料金も維持管理費の1つです。契約の不履行は契約解除の要件となっていることが多いため、確実に支払う必要があります。外注化は成功すれば経費削減につながりますが、一歩間違えると経費が高くなってしまいます。
何でも外注化するのではなく、外注化しても問題がないところを見極めることが重要です。
固定資産税
高齢者向け住宅は不動産のため、固定資産税がかかります。他の維持管理費と比べると微々たるものかもしれませんが、収支をしっかり管理するためにも把握しておくことが大切です。
賃料
高齢者向け住宅を建てた際にかかった費用のローン、賃料なども維持管理費の1つです。高額なローンを組むと、収入よりも支出の方が多くなるリスクが高まります。利用者数の見込みやその他の維持管理費などを踏まえて、無理なく返済できる金額を借り入れましょう。
維持管理費を節約する方法
維持管理費の節約方法には、次のようなものがあります。
非正規社員を増やす
正社員は、働いた時間に関係なく基本給の支払いが必要です。また、法律の規制が厳しく、経営状況に応じて自由にシフトを減らすことはできません。契約社員やアルバイトに関しても不当な理由でシフトを減らすことはできませんが、正社員よりは法的な縛りがゆるくなっています。そのため、非正規社員を増やすことで結果的に維持管理費を抑えられるでしょう。
ただし、非正規雇用に偏りすぎると現場の統率が乱れるリスクが高まります。
設備の質を問題のない範囲で落とす
設備の質を問題のない範囲で落とすことも節約方法の1つです。例えば、手すりを天然木ではなく天然木化粧板のものを選ぶ、不要な装飾を減らすといった方法があります。バリアフリーに関わる部分は一切手をつけず、利用者の安全に影響が出ないように注意しましょう。
維持管理費の間違った節約の問題点
維持管理費を間違った方法で節約すると、次のような問題が起きる恐れがあります。
利用者の満足度が低下する
利用者の満足度に影響する部分の維持管理費を節約すると、利用者が退去するリスクが高まります。例えば、手すりやスロープ、自動ドアなど、バリアフリーに関する設備に手をつけると、利用者が安全に過ごせなくなる恐れがあります。
また、使用していた食材を低品質なものに変更するような場合も、利用者の満足度が低下するでしょう。衣食住は生活の質(QOL)に深く関係するため、なるべく質を落とさないようにしたいところです。
人手不足になりやすい
非正規社員を増やすことで人件費を削減できますが、人手不足になりやすくなるかもしれません。例えば、年末年始やゴールデンウィークなどの大型連休で多くの非正規社員が休んでしまえば、正社員だけで現場をまわすことができず、サービスの質に影響が及ぶ可能性があります。非正規社員と正社員の人数や役職などのバランスに注意が必要です。
まとめ
高齢者向け住宅の維持管理費には、人件費や設備維持費などがあります。それぞれ、少しずつ節約することで安全に収支を改善できるでしょう。設備維持費を節約したい際は、建設やリフォームの際に専門家に相談してみてはいかがでしょうか。滋賀・京都・福井でデザインにもこだわる介護施設・老人ホーム・医院クリニックの建設、建築設計、リフォームなら株式会社澤村にお任せください。